この調査のポイント

・各店舗事業者の出店時に重視するポイント、出店時の課題、また、コロナ禍での指標の変化など、事業者の実際の回答コメントも交えて掲載
・店舗の所有・賃貸の方針など気になる情報をグラフ付きでわかりやすく解説
・中々聞けない出店時の社内決済で重視される指標も掲載

概略

ザイマックス不動産総合研究所は、早稲田大学建築学科石田航星研究室と共同で、多店舗を運営・統括する商業事業者(以下、事業者)を対象(*1)に、各種アンケート調査を継続的に行っている。

6回目となる今回は、2017年(*2)と同様に商業店舗の出退店に関するアンケートを実施した。本レポート(出店編)は、事業者の出店戦略に関する調査結果を集計し、とりまとめたものである。なお、同日公表の(退店編)(*3) では、事業者の退店戦略や社会情勢・消費者行動の変化についてまとめている。

事業者にとって店舗の出退店は事業の根幹であり、最も重要な不動産戦略のひとつである。今回のレポートは、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた事業者の出退店戦略を明らかにするための基礎調査となっている。店舗をとりまく環境の変化が加速していくなかで、将来にむけた事業者の出退店戦略のみならず、投資家・施設所有者・地主にとっても、不動産管理・運営方針策定のための有効なデータとなれば幸いである。

*1 調査対象:以下調査概要を参照
*2 2017年9月29日公表「商業店舗の出退店に関する実態調査2017
*3 2022年8月18日公表「商業店舗の出退店に関する実態調査2022(退店編)

調査概要

調査期間:2022年6月1日~2022年6月30日
調査対象:個人消費を目的とした小売業(食品)・小売業(非食品)・飲食業・娯楽業・サービス業(※1)のうち、直近調査年度の売上高が30億円以上 5,458社(※2,3)

※1:総務省日本産業分類に基づき、現在、日本の主力商業施設であるショッピングセンター・商業ビル・ロードサイドなどに出店している業種・業態を選定
※2:サービス業は、一般的な商業施設に出店している理美容・旅行・教育・保険・不動産を選定
※3:東京商工リサーチ社データに基づき、対象を抽出

有効回答数:329件(回答率:6.0%)
調査地域:全国
調査方法:郵送およびweb
調査内容:
 Ⅰ.貴社の事業および店舗について
 Ⅱ.契約形態について
 Ⅲ.出退店について

主な調査結果

・ 店舗出店における不動産(土地・建物)の所有・賃借の方針については「建物賃借(借家)が原則」が最も多い。次いで「特に決まっていない」が多く、事業者は物件ごとに柔軟に対応しているようだ。
・ 賃借店舗の初回契約期間については、ショッピングセンターでは「5~8年」が約半数を占めた。一方、ロードサイド単独店では「17~20年」や「20年超」といった長期間の契約が多い。
・ 出店時に特に重視する項目に関しては、「重視する」が最も多いのは<立地・マーケット>の「マーケット規模(商圏、人口、世帯数など)」(81%)であった。
・ 新規出店時の困り事については、「適正面積の物件が少ない」「契約条件が厳しい」「人手不足」と回答した事業者が多い。
・ 新規出店で重視される指標は、全体では「売上高」が多い。業種別では、小売業は「売上高」、飲食業は「投資回転率・回収期間」、娯楽業は「総投資額」、サービス業は「営業・経常利益率」と回答した事業者が多かった。

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