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新しい不動産の使い手たち ― インタビュー
レンタルスペースで遊休不動産を有効活用し、街をアクティブに / Rebase(前編)
公開日:2024年2月16日
賃貸契約するほどではないけれど、フレキシブルに場所を借りたい時に便利なのがレンタルスペースです。今回は、空きスペースを貸したい物件オーナーと、スペースを借りたい人を繋ぐ国内最大のレンタルスペース予約プラットフォーム“インスタベース”を運営する株式会社Rebase様のインタビューをお届けします。単に遊休不動産をレンタルスペースとして貸し出すことだけが目的ではなく、レンタルスペースの普及によって事業を興す人たちの背中を押したいという熱い思いが根底にあるといいます。ゆくゆくは全国の空き家問題解消をも見据えた事業戦略について、株式会社Rebase 代表取締役CEO 佐藤海様にお話を伺いました。
最短30分から、簡単かつ安価にスペースを借りられる
早速ですが御社の事業について教えてください。
場所を借りたい人と貸したい人をマッチングする”インスタベース”というサービスを運営しています。インスタベースという名前は、インスタント(瞬時に)+ベース(拠点)を持てるという意味を込めたもので、現在は全国各地およそ3万1000件以上のレンタルスペースをサイトに掲載しており、月間約10万件の利用があります(※2023年12月時)。
インスタベースの発想はどこから生まれたんですか?
10年前、共同創業者のCTO 髙畠と私が創業のアイデアを練るため毎日のように会っていたのですが、オフィスを借りるお金がないので、渋谷や代官山、自由が丘…と毎日のように場所を点々としながら打ち合わせをしていました。
電源やネット回線が不十分な場所も多く、ミーティングを始めるだけでも一苦労で。その経験をもとに、何かを始めようとしている人に対して一歩踏み出しやすい環境を作りたい、と思いついたのがレンタルスペースの予約プラットフォームです。
借りたい時にすぐに借りられるフレキシブルなスペースを増やして、場所に困ることなくやりたいことがやれる世の中にしようというコンセプトが根底にあります。
どんな目的でレンタルスペースを借りる方が多いですか?
インスタベースでは、打ち合わせやセミナー・研修などビジネス目的と、料理教室やヨガ教室などレッスン目的での利用が多いです。それ以外にも幅広い用途でまんべんなく利用されているのが当社の強みでもあります。
コロナ禍でもほとんど影響を受けずにサービスを続けられましたし、ビジネスやレッスン目的の場合、リピート率が高いという特徴があるので、安定して運営することができています。
特にコロナ以降は顕著に増えたかと思いますが、創業時も空室や空きスペースを抱えて困っているオーナーは多くいたのでしょうか。
そうですね。例えば、パソコン教室や語学教室などは夕方から夜にかけて生徒が集まってくるので、朝から夕方までは長時間空いてしまうことが多いです。稼働していない時間帯を一時的にレンタルスペースとして貸し出せば利用料を得られるので、オーナーさんからも喜ばれました。
10年前の創業時からそのようなオーナーさんに対して、持て余している空間や時間帯がないか営業を掛けて、掲載数を地道に増やしています。
掲載物件はどのように集めているのでしょうか?
インスタベース上で誰でも自由にレンタルスペースを無料で登録することができますし、大手企業様が所有している空きスペースの掲載が増加傾向にあることも相まって、毎月、掲載数は増加しています。
ここ数年でレンタルスペースの認知度も上がったように感じます。
そうですね。2~3年前から不動産チラシの備考欄に「レンタルスペース可」という一文をよく見かけるようになりました。これには感動しましたね。
昔はレンタルスペースというと、どのような使い方をするのかと疑われることもありました。物件オーナーさんには何度もサービス内容を根気強く説明しましたが、今思えば24歳の若造が「空きスペースありませんか?」って突然営業に来て、まぁ怪しまれても仕方ないとは思いますが…(苦笑)。
初期費用の安いレンタルスペースで、開業の後押しをしたい
レンタルスペースは利用料金の安さも魅力ですよね。
はい。それが重要だと思うようになったのにはきっかけがあって、昔、とあるTV番組で、双子の姉妹が7年間一生懸命貯めた1,000万円を元手に、夢だった美容サロンをオープンするまでを密着する企画を偶然見ました。
結局、開業はできたものの、1,000万円のうち700万円以上が賃貸契約などの初期費用で消えてしまった。僕はすごくモヤモヤしました。
なぜかというと、2人が7年間の月日を投じてお金を貯めないと事業が始められない、ということに違和感があるし、これが常識だとしたら変えるべきではないのかと感じたからです。
確かに、開業には莫大な資金がかかります。
将来、日本の人口がこのまま減りつづけたとしてもGDPを維持、もしく今以上に上げるためには、多くの人の生産性を高めなければなりません。
そのためには経済活動がしやすい場所を増やさないといけない。となると、レンタルスペースのような気軽に借りられる場所が必要だし、今よりもそういう場所を増やさなければならないと思っています。
事業を始めたい人達が過度なリスクを負うことなく、一歩踏み出せる環境を整えたい、と。
はい。インスタベースを始めて間もないころ、それを強く思わせてくれた体験があります。
世田谷のとあるレンタルスペースに、大手ヨガスタジオで働きながら、いつか自分のヨガ教室を持つのが夢だというインストラクターの女性から問い合わせが来ました。
ヨガ教室をするイメージがないレンタルスペースだったので、僕らも驚いたのですが「どうしてもここがいいんです!」と。
はじめは生徒が2人だけだったのが、1年後にはもうびっくり!30人以上にまで増えて、週1回2時間だけだった枠が、週3回2時間ずつまで広がっていました。
もう感動してしまって「良かったですね、すごい教室になって。」とお伝えすると、「インスタベースがなかったら、今の私はありません。ありがとうございました。」と逆に感謝されてしまって、トンカチで頭をガーンと殴られたくらいの衝撃を受けました。
これこそがインスタベースの存在価値なのだと実感した出来事でした。
夢を叶えようとしている人に舞台を提供されたわけですね。
はい。レンタルスペースの良さの一つは、認知さえしてもらえれば、立地が良くなくても商売が成り立つことです。
今はSNSで集客活動ができる時代になり、駅前などの好立地でなくても人気のあるお店が増えていると思います。
駅前の物件は賃料が高い分、売値に転嫁されて結局はお客さんに負担が掛かる。でも、レンタルスペースは好立地とは言えない場所にもあったりするので、場所代が安く済みます。
レンタルスペースならば開業資金が大幅削減できる上に、ランニングコストの負担も軽くなる。駅前よりも安い価格で商品やサービスを提供できるので、良い意味での価格破壊も起きうる。そうなると、今より多くの人があらゆるサービスや体験により手軽に触れられるようになると思っています。
今後の課題は何かありますか?
1つ目は、レンタルスペースの認知度を上げること。
インスタベースの掲載数3万1000件(※2023年12月時)は国内最大ではありますが、誰もが知るサービスとはまだまだ言えません。
2つ目は、レンタルスペースを知っていても、どんな時に使えばいいか分からない方が多いこと。何にでも使える多種多様なスペースがあるのは当社の強みですが、逆に「どんな場面でレンタルスペースを使えばいいかイメージが湧かない」と言われることがまだ依然として多いです。
レンタルスペースが日常的なサービスになるため、事業規模を拡大するためには、この2つの課題を解決しなければいけないと思っています。
それでは最後に展望をお聞かせください。
何かを始めたいと思っている人がインスタベースを利用することによって、資金や場所の問題で困ることなく、アクティブに動ける世の中を実現できたら嬉しいです。なぜなら、何かを生み出そうとするポジティブなエネルギーに溢れた人が日本中に増えたら嬉しいですし、日本は変わっていくと思います。その実現に向けてサービスを提供することが、当社の価値だと考えています。
※今回は事業全体についてお話いただいた前編となりますが、Rebase様の新たな取り組みに迫ったインタビュー記事後編もこの先リリースを予定しています。
今回、取材に応じていただいた企業様
株式会社Rebase
- 所在地
- 東京都渋谷区神宮前 4-26-18 原宿ピアザビル 5階
- 設立日
- 2014年 4月 8日
- 従業員数
- 33 名(2023年9月末時点)
- 事業内容
- 予約プラットフォーム事業
- Webサイト
- https://www.rebase.co.jp/