空き家問題解消を見据えて

御社が考える不動産の課題はありますか。

深刻化している空き家問題です。2023年の総務省の調査によると、全国に900万戸以上あるといわれていますが、まだ顕在化されていないものもあると考えています。

図表:graph-stock

当社にも「うちの空き家、レンタルスペースにできませんか?」とか「Rebaseさんの観点でアドバイスをいただけませんか?」など空き家や空きスペースに関する相談が絶えず入ってきますが、残念ながらノウハウがなく、ほとんど対応することができていませんでした。そのような中で、遊休不動産の利活用を促進したいという想いから「全国空き家対策コンソーシアム」に参画することを決めました。空き家に関する専門知識を持つ団体との連携を強化し、全国共通の課題である空き家の増加抑制や、空き家問題に向き合うESG経営、CSR活動の推進を目指して取り組んでいきたいと思っています。コンソーシアムには、除却事業者やディベロッパーをはじめ、私たちと同じように利活用を行う企業も参画しているため、様々な資源を持つもの同士のシナジーにも期待しています。

とてもいい取り組みですね。空きスペースの利活用に対して、新たな取り組みはありますか?

一昨年から継続して、神戸市、神戸電鉄、一般財団法人神戸シティ・プロパティ・リサーチと共同で実証事業に取り組んでいます。市と沿線の魅力や価値の向上と、沿線に関わる人々の暮らしをより豊かにすることを目的に、神戸電鉄沿線のテナントスペースの流動性を高め、駅前の活性化を図ることを目指しています。具体的には、谷上駅前の神戸電鉄が所有するテナントスペースの一区画を、駅周辺にお住まいの方や駅を利用する方はもちろんのこと、誰もが気軽に利用したい用途で利用したい時間だけ借りられるように、レンタルスペースとして運営しています。利用者や予約内容のニーズを把握することで、スペースの利活用だけでなく駅前の潜在的な需要の掘り起こしも狙っています。

貸切パーティー、ママ会、ポップアップストアなど多用途で利用可能な谷上駅直結のいろどりBASE谷上

また、第二弾として2024年4月より神戸市の無印良品と神戸親和大学を加えて、鈴蘭台駅前の神戸電鉄が所有するテナントスペースの一区画を学生がプロデュースし、レンタルスペースとして運営を開始しました。

官・民・学の連携も行っているんですね。

はい。神戸親和大学の学生が発案したアイデアをもとに、「駅前を利用する人々の暮らしに“いろどり”を添える“拠点”を創る」をコンセプトとしたレンタルスペース「いろどりBASE 鈴蘭台」をオープンしました。神戸電鉄沿線には多様な世代が暮らし、また多くの通勤・通学者が鈴蘭台駅を利用しています。こうした方々の日常にいろどりを添える拠点を提供することで、沿線にお住まいの方への利便性の向上とコミュニティの創出につなげています。実際の利用用途として、地域の親子向けに防災知識を得るセミナーを行ったり、バスケットチームの懇親会などに利用されていて、スペースとして好評なようです。中でも子育て世代やお子様を交えた利用が多いことも特徴的ですね。

遊休スペースの有効活用で街をアクティブに

空室や空き家が増える一方、都心には高層ビルやタワーマンションが増え続けています。

そういう景色を見ると「あれ?こういうのを本当にみんなが望んでいるのだっけ?」と疑問に感じることがあります。

例えば、タワーマンションには、自分の部屋だけでなくキッズルームやスタディールーム、フィットネスルーム、ゲストルーム、などあらゆる機能が共有エリアに詰まっており、便利で人気がありますよね。でも、それらを使えるのはもちろんですが住人のみ。つまり、高い家賃を払える人だけが便利な環境にアクセスできて、そうでない人はアクセスできないという、この状況を変えていきたいです。

本来なら、街なかにフィットネスや子供の遊び場、友人同士でちょっと集まれるような場所、ワークスペースとかが点在していて、近くに住んでいる人達が気軽にアクセスできる状態の方が街として理想的だと思っています。そうなれば、今よりも街が、ひいては日本全体がアクティブになるのではないでしょうか。

この度は貴重なお話をありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

今回、取材に応じていただいた企業様

株式会社Rebase

株式会社Rebase

所在地
東京都渋谷区神宮前 4-26-18 原宿ピアザビル 5階
設立
2014年4月8日
従業員数
44名(2024年11月1日時点)
事業内容
予約プラットフォーム事業
Webサイト
https://www.rebase.co.jp/