地盤を固めて事業の柱を増やし、インフレに備える

賃貸、管理に加えて売買、テナントと柱がいくつも増えると、どこか一ヶ所が不調になっても経営的に安心感がありますね。

そうですね。最近、社内ではインフレの可能性についてよく話題になります。この30年間、管理業が良いってずっと言われてきたのは、デフレ体制下だからですよね。

ええ。毎月、必ず固定の手数料が入る管理業の良さを、私もお客様に語ってきました。

でも、インフレになるとガソリン代や人件費は上がっても、家賃は上がりませんよね。つまりインフレには弱い。

ということは、フロービジネスの要素をどれだけ持っているかが、今後インフレ傾向が強まれば強まるほど重要になるんです。

フロービジネスというと、例えば、売買とか?

ええ。例えば、買い取りの資金があるか、テナント仲介がどれだけできるのかとかですね。管理業という安定的な基盤がある上で、ターボエンジンが大事になってきます。

その中でもテナント仲介は単価が高いですからね。

そういうチャンスを色々張れる会社こそが強い。社員の人員配置バランスは状況に応じて変えられますが、そもそも人員や組織を持っていなければできません。

インフレになって初めて組織を作るようじゃ間に合わない。

すぐにインフレになるわけじゃなくても、過去にも起きてきましたよね。歴史を振り返れば想像できることが沢山あるんだから「こうなったらこの手がある」という選択肢を複数持っておくのが大事だと思います。

それなのに変化に対応しようとしない経営者も残念ながらいます。

変化してもしなくても大丈夫なようにしておくのが一番良いわけです。

それに、確実に分かっているのは、社員が年を取るということ。どの会社も社員の加齢は計算できるじゃないですか。30~40代のベテラン層が増えれば人件費がもっと必要になる。給料が上がるにつれて能力を上げて売上を上げさせないといけない。それを実現する仕組みや組織を持っているかが根本的に大事です。

事業承継を見据え、若手幹部候補生を育成

私もコンサル先の経営者に「社員達の年齢に20足してみてくださいよ」って言うと、皆さん驚くんですよ。「急いで採用しなきゃ!」って(笑)。

当然の話で、それを直視するかどうかですよね。

うちは最近、“次世代キャビネット”という制度を始めて、後継者を育てようとしています。不動産業に限らず、経営課題のNo.1になるのが事業承継ですが、それって事業承継する側がしようとしないから問題になっているだけだと思うんです。

廣田社長は、若手から幹部候補生を選抜して経営学とかマネジメント学の研修をしているんですよね。そういう事をしない経営者もいますが、必要性を感じているかどうかだけなんですよね。

大昔は、わざと社員に宅建を取らせない会社がありましたからね。理由は、取らせたら独立して大家を抜かれるかもしれないから(苦笑)。「なに言ってんだ?!」って感じですけど、現代も口に出さないだけでそういう経営者はいます。

ええ。大所帯になる程その傾向はあるかもしれません。“優秀な店長”にさえなってくれればいいから、と。

いろいろな会社にお邪魔していますが、ビジョンのない経営者もいます。

経営者の理念がはっきり開示できていれば、他業種からでもジョインしてくれるようになります。でも、ビジョンが社長の頭だけにしかなければ、まとまった数の社員を採用したり育成したりすることは無理。

うちが100%できているわけではありませんが、それを目指して日々動いています。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

今回、取材に応じていただいた企業様

株式会社 不動産のデパートひろた

株式会社 不動産のデパートひろた

創業
1976年(昭和51年)
本社所在地
福岡県北九州市八幡東区山王1丁目11番1号
事業内容
不動産流通業
Webサイト
https://corporate.re-hirota.co.jp/