店舗ならではの安定した管理料収入

中屋敷:しゃぼんの1店舗あたりの管理料は10万円なんです。
オーナーさんは集金作業だけで、それ以外の管理業務、例えばクレーム対応や機械修理は全てうちがやります。
今11店舗ありますから、それだけで毎月110万円の管理料。これを住宅の管理料に換算したら何戸に相当するでしょうか。

上 野:地方によっては管理料ダンピングがものすごくて、アパート1戸1000~2000円の世界になっている所もあるようです。
それと比べたら1店舗で毎月10万円が固定で入ってくる方がよっぽど安定している。

中屋敷:当然、店舗もクレーム対応はありますが、単価を考えれば住宅より店舗の方が効率が良いし、判断や決済もしやすい。

空き家流通アドバイザーとして移住を支援

上 野:御社の商圏の範囲は?

中屋敷:うちは福井県と石川県まで取り扱ってます。

上 野:結構広いですね。

中屋敷: 「一般社団法人移住・住み替え支援機構(JTI)」に協賛している関係で、敦賀に3軒だけ管理物件があるんです。目的は空き家と、賃貸住宅のお客さんとのマッチングです。空き家になった戸建を査定して、これだけ改修すれば一般賃貸になりますよっていうコンサルをして入居者を仲介すると。

上 野:敦賀は豊かなところですよね。都会の生活に疲れた方はね、もう福井や敦賀でのんびりテレワークしたらよろしいと思うんですよねぇ。

中屋敷:実際、そういうニーズはあるんですよ。でも現実は、場所によりけり。老朽化した空き家が増えすぎて一大問題になるほど。その空き家が活用できる/できないをジャッジする役目として、福井県からの嘱託で空き家流通アドバイザーを担当しています。

人口が減り続ける福井で

中屋敷:福井県ってここ10年で人口が10万人減って、80万人都市が70万人になっちゃったんですよ。東京の1区よりも少ないんですよ。70万人の商圏の中でどうやっていくの?って話。
商圏は小さくなるのに不動産は残るわけじゃないですか。そうなったら活用できる土地/活用できない土地、絶対ふるいにかけられますよね?そうなった時に何か土地活用のお手伝いができないか、もしくは自社で買ってでもいいから何かそこでできないかな、なんて考えますよ。
田舎で投資したってムダだから都会に来い!なんて言う人もいますけどね、行ける人ばかりじゃないでしょう。

上 野:そう思います。御社はこの町で何とかやっていくと。

中屋敷:はい。そこで僕が思ったのは、手間がかかっても土地活用の引き出しをたくさん持つしかないなって。だってそうじゃなきゃ大手さんに勝てない。
でも、面倒くさくて真似するのは簡単じゃないはずですよ。だって、地主さん100人100通りの案に対応しなければいけないですから。

今後は人材育成も課題に

ザイマックス:そうなるためには、土地の目利きができる社員の育成も課題になりそうですね。

中屋敷:はい。少人数でもいいから土地コンサルに精通した社員を増やしていきたいと思っています。
オールラウンドに一つの窓口でコンサルできる会社が目標です。たとえ賃貸住宅のマーケットが広がらなくても、土着ならではのコンサル業っていうのはなくならないはずなので。

上 野:そういう意味では若手の方と一緒にお仕事されてらっしゃる?

中屋敷:はい。徐々にですけど。こんなに面白い事業ができて、更に成功すれば報酬に繋がるよっていう姿を見せながらね。

上 野:若手社員もそういう未来が描ければ、仕事に対する意欲や給与アップに対する期待が高まるし、将来のキャリア像がハッキリ見えてくるじゃないですか。

中屋敷:ただね、最近の子はハッキリ2つにタイプが分かれるんですよ。夢に向かってやってやるぞー!ってタイプの子と、そんなとこまで行くつもりはありません、という子と…。

上 野:なるほど。でも、本来なら地方の不動産会社ほど、御社に修行に来た方がいいですよ。だって町の人口が減るのは目に見えてるんですから。
ただし、今のマーケットは郊外ほど人口が減るのに対して、テナントは郊外のロードサイドが活性化している。でも、やったことがないし、そういうことはやれないと思っている不動産会社が実に多い。

不動産業の延長でできる地域活性策があるはず

上 野:色んな不動産会社さんをコンサルしていると、入居目標が達成できなくて悩んでる営業マンが山ほどいます。でも、必ずしも彼らが悪いわけではなくて、人口減少やインフレ、円安とか個人の手におえない問題が根底にある。だって、一人暮らしをしないで自宅通学する学生が増えているし、法人の転勤も減っている。だから、そもそもニーズ自体が減っているんです。
そんな時に、トレーラーハウスで個人事業主に新規出店を促そうとか、コインランドリーを出してみようとか、そういう世界って大事なことだと思うんですよ。本当に地域密着の不動産会社さんだなと思います。

中屋敷:ありがとうございます。スモールマーケットの中で臨機応変に対応できてチャレンジしやすい、もし駄目でもすぐに撤収して違うものにチャレンジできるっていうのがいいなと。一か八かで数千万借金して店を始めたけど駄目になって自己破産です、なんてリスキ-な世界はおかしくない?って。

上 野:ええ。志のある不動産会社さんほど、「これからはタウンマネジメントだ!」と掲げて、町おこしのために莫大なお金をつぎ込んで施設を作ったりしちゃいがちだけど、そんなリスキーなことをしなくても、不動産業務の延長線でやれることがありますよね。そこにコインランドリーができたりとか、個人事業主が気軽にチャレンジできるトレーラー店舗だとか。
不動産業が本来もっているはずの“引き出し”を開けられるのならば、御社のような地域活性化の方法がとれるわけです。
ちなみに来春には北陸新幹線が敦賀まで延伸しますけど、どうなりますかね。

中屋敷:うーん、わからないですけど一喜一憂するところがあるんでしょうね。
既に首都圏の投資家さんが駅前のビルを1棟売買してますしね。絶対ニーズはあるんですよ。
まぁ、駅前のピンポイントな場所ではそういうことも起きてますが、それ以外のエリアにまで新幹線の効果が波及するのか…。

上 野:新幹線を通すだけで終わらせず、何かしら土地の魅力を発掘して良い影響を期待したいところですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

中屋敷:こちらこそありがとうございました。

今回、取材に応じていただいた企業様

有限会社レグ

有限会社レグ

創業
平成11年10月15日
本社所在地
福井県福井市北四ツ居1丁目25-20
事業内容
不動産仲介業、コンテナハウス事業、不動産コンサルティング業等
Webサイト
https://www.reg.co.jp/