用途地域

【ようとちいき】

2020年12月4日更新

建設可能な建物の使いみち（＝用途）や大きさ（＝容積率、建ぺい率、高さ等）を定めた地域のこと。
無計画な都市開発の防止と住みやすい街づくりの推進を目的として、都市計画法で定められている。
用途地域は大きく①住居系②商業系③工業系の3種類に分けられており、更に細分化されて全部で13種類の区分がある。
13種類の用途地域の特徴と主な制限は以下の通り。
【①住宅系】
（1）第一種低層住居専用地域
低層住宅の住環境を守るための地域。戸建て住宅やアパート、マンション、小中学校や兼用住宅であり床面積が50㎡以下かつ全体面積の半分未満の小規模な店舗等を建設・出店することができる。
また、建物の高さは10ｍ（もしくは12ｍ）に制限される。

（2）第二種低層住居専用地域
主に低層住宅の住環境を守るための地域。戸建て住宅やアパート、マンション、小中学校等が建てることができる。
2階以下の床面積150㎡以下ならば建てることができるため、コンビニや喫茶店、理髪店などを出店可能。

（3）第一種中高層住居専用地域
中高層住宅の住環境を守るための地域。「（1）第一種低層住居専用地域」、「（2）第二種低層住居専用地域」と異なり建物の高さ制限がなくなるため中高層マンションや3階以上の集合住宅を建てることができる。
また、2階以下で床面積500㎡以下の店舗を建てることができ、飲食店や銀行の支店、病院、寺社仏閣、大学等の教育施設が建設・出店可能。

（4）第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅の住環境を守るための地域。2階以下で床面積1,500㎡以下の店舗や事務所、自家用倉庫等を建てることができる。

（5）第一種住居地域
住居環境を守るための地域。床面積3,000㎡以下の店舗や事務所、ホテル等に加えて、床面積3,000㎡以下のボーリング場やゴルフ練習場等、一部の遊戯施設を建てることができる。

（6）第二種住居地域
主に住居環境を守るための地域。床面積10,000㎡以下の店舗の他、同じく床面積10,000㎡以下のカラオケ店、パチンコ店等も出店することができる。事務所やホテル、ボーリング場、自家用倉庫等に対して床面積の制限はなし。

（7）準住居地域
道路の沿道において、自動車関連施設等の立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。幹線道路沿い等いわゆるロードサイドのようなエリアが指定される場合が多い。
（1）～（6）までの用途地域で建てられる建物に加えて、客席200㎡未満の劇場や映画館、演芸場、観覧場、倉庫業を含む倉庫を建てることができる。

（8）田園住居地域
農業の利便性を増進するとともに低層住宅の住環境を守るために、平成30年4月から新たに追加された用途地域。
用途制限は「（1）第一種低層住居専用地域」と似ているが、田園住居地域の場合は、500㎡以内の農産物直売所や農家レストラン、加工所、農産物の貯蔵施設等一定の農業用施設ならば、建設・出店が可能。
ただし、農地の開発や建築を行う際には市区村長の許可が必要となる。

【②商業系】
（9）近隣商業地域
近隣住民が食料品や日用品等日常の買物をするための地域。店舗やカラオケ店、パチンコ店、ゲームセンター等の床面積制限、劇場や映画館の客席面積制限がなくなる。
また、「（7）準住居地域」に比べて工場・倉庫等の制限が緩和される。

（10）商業地域
飲食店や百貨店、銀行、映画館等商業と、オフィスをはじめとしたその他業務の利便性を増進する地域。キャバレーやダンスホール等の風俗施設、小規模な工場の出店も可能。

【③工業系】
（11）準工業地域
主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域。危険性や環境悪化のリスクが大きい工場を除き、ほとんどの工場を建てることができる。また、住宅やホテル、ボーリング場、映画館、病院、教育施設等も建設・出店可能。

（12）工業地域
主として工業の業務の利便性を増進する地域。危険性や環境悪化のリスクが大きい業種を含めあらゆる工場や住宅、店舗を建てることができる。ただし、ホテルや映画館、病院、学校、病院等は建てられない。

（13）工業専用地域
もっぱら工場の業務の利便性を増進する地域。危険性や環境悪化のリスクが大きい業種を含めあらゆる工場を建てることができるが、住宅や店舗、学校、病院、ホテル等は建てられない。
「（12）工業地域」よりも制限が増え、老人ホームや図書館、遊戯施設（10000㎡以下のカラオケ店を除く）等も建設・出店できない。

なお、用途地域の見直しはおよそ5年ごとに全国一斉で実施される。
用途地域の区分けを表示した都市計画図は、役所や自治体のHPから確認することができる。