なぜ初期費用20万円で一等地に飲食店が出せる?

早速ですが御社の事業について教えてください。

飲食店の情報を発信するwebメディアの運営や、モバイルオーダー、サブスクなど店舗DXに関するシステム開発、そして、もう一つが今回お話しする「レストラン・アズ・ア・サービス」、当社では「RaaS(ラース)」と呼んでいますが、いわゆるシェア型フードホール事業を行っています。

シェア型フードホールとは?

複数の会社が1つの事務所を共有するシェアオフィスのように、見た目は1つのレストランですがいくつかの店舗が営業できる広さのキッチンとホールがあり、厨房設備や客席、スタッフを複数人のシェフが共有しながら営業する飲食店のことです。

普通、飲食店をオープンするには、店主自ら物件を探して賃貸契約し、食材の仕入れやレジ・決済などに使うシステムを決め、インフラの開通、設備・内装工事、集客活動…全部1人でしないといけないため、開業資金を含め大きな負担になっていました。

今回の取材地である、シェア型フードホール「汐留横丁」。2023年8月、東京・汐留にある電通本社ビルの地下2階にオープンした。ネオ居酒屋、マグロ専門店など様々なジャンルの店舗が同時に営業をしており、利用客は各店舗の好きな料理を好きなように組み合わせて横断型で注文できる。favyではこのシェア型フードホールを全国10か所で展開している。

確かに飲食店の開業には膨大な手間と資金が掛かりますね。

ところが、シェア型フードホールでは既に厨房設備とインフラシステムが整った状態なので、料理人はほとんど身ひとつで店を始めることができますし、複数社で負担をシェアするため、通常よりもかなり低い初期費用で開業することができます。

favy社のWebサイト(https://redine.jp/recruiting/index)より

テナントが開業や店舗運営にまつわる些末な事務作業から解放されるのもメリットですよね。

そうですね。それらの負担を当社が引き受けることで、料理人本来の仕事である調理やメニュー開発に専念できるようになります。また、物件オーナーも、慣れないリーシングやテナントとの交渉、施工会社との折衝など当社が引き受けるので負担はかなり減るはずです。

やはり、リーシングから設計施工、インフラ導入、出店後のプロモーションまで全部ワンストップで対応できるのが他社にはない強みかなと思っています。

今回お話を伺った株式会社favy執行役員 佐藤正児様。

飲食業界にも広まる「シェア」の発想

そもそもシェア型フードホールの構想はどのように生まれたんですか?

やはり世の中にシェアサービスが浸透してきた時代背景が大きく影響しています。エンドユーザーが何かを占有することに対してこだわりを持たなくなってきていますよね。それこそフリマサイトが広まってセカンドユースが当たり前になったように、独占欲みたいなこだわりは更に薄れていくんだろうな、と。

そんな中でこれからシェアエコノミーで伸びる可能性があって、しかも当社のデジタル技術で課題解決できる業界。その中でも、当社が好きなものって何だろう?と考えた時にたどり着いたのが飲食業界でした。

伸びしろ×好き、最高の組み合わせですね。

「好きを仕事にする」ことを大事にしている当社としては、そこは一番優先的に考えました。

確かに所有に対する感覚がだいぶ変わりました。飲食業でいえば、昔は何年も修業して「いつか自分の店を持つ」みたいなサクセスストーリーが王道でしたが、今は必ずしもそうじゃないと。

その通りです。料理の腕がどんなに良くても、店舗運営が上手くいかず閉店に追い込まれるケースは少なくありません。でも、シェア型フードホールならごく軽い負担で自分の店を持つことができますし、万が一、上手くいかなかったとしても退店費用も軽減されます。

自分の店を持ちたいけれど先立つものが…と躊躇している人達にとって一番のネックである、物件と開業資金を当社がカバーすれば、そのチャンスを拾い上げることができるのかなと思っています。

物件オーナーにとっては、テナント運営の最適化による賃料の最大化、飲食フロアの活性化などのメリットがある。一方、店主にとっては初期投資を大幅削減できる上、家賃は変動費制なので事業リスクを最小化でき、運営ノウハウの共有によって効率的な経営ができるメリットがある。

低いリスクで飲食店開業にチャレンジできる

コロナで大きな煽りを受けた飲食業界ですが、御社にはどんな影響がありましたか?

オーナー側の変化でいえば、大箱の飲食店ほど借り手が見つからないケースが圧倒的に増えました。空室が1年近く続いて困っているオーナーからの相談も少なくありません。小規模店舗のニーズはコロナ前から増加傾向でしたが、それがコロナで一気に加速したと感じます。

飲食店側の変化としては、今まで大手飲食チェーンや有名店で働いていたけれど、コロナを機にリセットして小さくてもいいから自分の店を持ちたいという方が増えたように思います。

プロの料理人として働いた経験がなくてもシェア型フードホールに出店される方もいらっしゃるとか。

「今は主婦だけど、自分の店を持ちたい!」というような方も普通にいらっしゃいますし、以前よりも気軽にエントリーしてくれる方が増えましたね。

どれくらいのエントリーが来るんですか?

料理人の募集はWEBだけですが、それでも都心だと1区画に30~40組、地方でもエリアによっては10組くらいの応募が来ます。

すごい!想像以上の人気ですね。どうやって出店者を選ぶんですか?

書類審査から3~4段階の選考を経て、最終的には面談形式で事業計画を確認したり、試食会をしたりして1組に絞っていきます。それと並行しながら、他のテナントとバッティングしないかMD的な発想を加味してオーナーと交渉を進めます。

やはり料理のジャンルが被ると良くない?

特に商業施設の場合は既存店舗と競合しないように調整します。横丁タイプならそこまで縛りはありませんが、エンドユーザーからみても料理の選択肢は多い方が良いので。

こういうテナントとの調整も御社が担当してくれるので、オーナー側も安心ですね。

そうですね。オーナーが苦労されるテナント募集の段階から、設計会社や施工会社とのやり取り、開業後も賃料を最大化するために不可欠な集客活動まで当社で引き受けることができます。

地域活性化の起爆剤として期待される飲食業

シェア型フードホールを出店する施設側の条件はありますか?

都心の高層オフィスビルもあれば、商業施設やマンションの飲食区画、路面店など全国どこでも物件の種類は選びません。モバイルオーダーやサブスクのシステムだけを導入するのではなく、商業施設の飲食区画や街の活性化を期待されて受託する案件もあるので、オーナーと共同で進めるケースもあります。

今、インタビューを受けているこの場所(「汐留横丁」※2023年8月、東京・汐留にある電通本社ビルの地下2階にオープンしたシェア型フードホール)も、コロナで一気に飲食店が撤退してしまい活気がなくなりつつあった頃にお話を頂いたんです。

一方で、ランチ難民が増えて困っているという話もあって、儲け云々よりも、このビルをもう一度、飲食業で盛り上げることができれば、物件や汐留という街自体の価値を上げることができるんじゃないかと思ってお引き受けした経緯があります。

賃貸マンションの店舗区画にオープンした、favyが運営するサブスク型カフェ「coffee mafia 木場」。月額3,000円(税込)を払えば本格コーヒーを1日1回無料で受け取ることができる。主なターゲットはマンション住民で、物件の差別化と付加価値向上に寄与している。

施設や街のバリューを上げる起爆剤として、御社に声がかかる例があるわけですね。

鹿児島や仙台など地方都市では、地域経済の再活性化的なコンテンツとして捉えていただける側面もあります。

例えば、2022年にオープンした「仙台みらいん横丁」は、全国各地で飲食横丁のプロデュースをしていた会社がコロナ禍で倒産してしまい、手つかずになっていて困っていた施設のオーナーから相談を受けて、当社がリニューアルオープンさせました。

2022年3月、JR仙台駅から徒歩1分の場所にオープンしたシェア型フードホール「仙台みらいん横丁」。小料理屋やビストロ、会員制焼肉店など個性豊かな5店舗が営業している。

今回、取材に応じていただいた企業様

株式会社favy

株式会社favy

本社所在地
東京都新宿区西新宿6-16-6 タツミビル 7F
事業内容
店舗DXに特化したマーケティング支援
Webサイト
https://favy.co.jp/
RaaS事業について
>物件オーナーさま向け
https://favy.co.jp/raas_bpo
>開業シェフのみなさま向け
https://redine.jp/recruiting/general/cp