店舗内の感染対策はテナントに任せつつ、
建物全体の通気性の確保や共用部での対応を。
また、時短営業を考えると
防犯強化も必要な時代に

オーナーとして、管理会社として、感染対策はどうすべきか

ワクチン接種が進む中、これからも感染対策は日常的に必要な時代となってきました。テナントに入る飲食店さんや物販店さんは、それぞれにコロナシールドや、アルコール除菌液の設置など、個々に感染対策をしています。では物件を所有するオーナーや、その物件を管理する管理会社として、考えるべき事はないものでしょうか。

3密の中で「密閉」は物件側でも対処を

「3密」。すなわち「3つの密(みっつのみつ)」は、新型コロナウイルス感染症に対して政府が掲げた標語です 。集団感染防止のために避けるべきとされる「密閉・密集・密接」を指すものです。
「密集」を避けるための空席の設置や、「密接」を避けるためのシールドの配置などは店舗側で対処するのが基本ですが、「密閉」は、建物側でも出来る事があるはずです。
厚生労働省によると「密閉は、窓がなかったり換気ができなかったりする場所を指す」とのこと。
換気の不十分な空間において空気中のウイルス濃度が高くなり感染のリスクが生じる可能性が指摘されており、実際感染した事例も報告されています 。対策としては、部屋の規模に関わらず十分な換気が重要とのことです。

換気に適した物件構造を

ということは、まずテナント物件建設時には、換気に適した間取りを意識する必要があります。建築基準法では、確かに採光とともに、通風が備わっていない部屋を居室とは認めていませんが、事業用では異なります。また、冷暖房効率を考えると、むしろ気密性の高い建物が、テナント物件としては好まれていると思います。臭いや音なども漏れにくく、飲食店経営などでは特に、入り口以外は気密性が高く、換気扇や換気口などで対応してきました。
今後、テナント物件では、密閉を避けるための空気の循環に配慮した設計も考慮していく必要があるでしょう。

時短要請・休業要請を狙った空き巣被害の対策も

また、変異株による感染拡大などが今後も起るかどうかは不明ですが、飲食店への時短要請や協業要請は、今後も発生するかもしれません。そうした際に、まさに泣きっ面に蜂となるのが、「従業員がいないところを狙った」空き巣などの被害です。実際に、緊急事態宣言下でのテナント物件への盗難被害は増えているようで、警視庁・警察庁が警戒を呼びかけています。
客を装って、レジや金庫などを確認し、時短や休業で不在のタイミングを狙うという手口は許せません。管理会社やオーナーとしても家賃滞納などのリスクが拡大します。

建物全体の防犯は管理会社とオーナーで対策を

テナント店舗内での金庫や防犯対策は、テナント側でしっかり行うべきですが、建物全体となれば管理会社やオーナーが検討する必要があります。分譲物件に比べると賃貸物件では防犯カメラの設置が少なく、エントランスやエレベーターなど共用部の強化は、重要なポイントです。
そこで、今後も何度か休業要請や時短要請がありえる事を考えると、棟単位でのセキュリティ強化は物件の資産価値を高めることが出来ます。最近ではカメラの性能が良くなり、インターネット経由で、ハードディスクではなくクラウドサーバーにデータを蓄積できる単価の安いネットワークカメラも発売されています。
安全安心の強化のためにも、防犯強化も重要となるでしょう。