そもそも、コンテナ建築とは?

ストレージ王がトランクルームに使用するのは「建築用コンテナ」といって、建築基準法に適合したれっきとした建築物です。一般的に知られている貨物用や海上輸送用のコンテナと見た目は同じでも、性能は別物。お客様の荷物を守る優れた断熱性と耐水性を持ちながらも、一般的な建築工法とは比べ物にならないほど短い工期で建築できます。また、移設・増改築・再利用が簡単で、サステナブルな次世代型建築としても注目されているのです。

荒川氏

「もともと親会社である株式会社デベロップ(創業2007年 本社:千葉)が、建築用コンテナを使ったトランクルーム業を営んでいました。投資家が借りた土地にデベロップがトランクルームを設置し、グループ会社である当社がPM会社として運営するビジネスモデルだったのですが、その後、トランクルームに関する事業は全てストレージ王が掌握することになり、2021年3月現在、関東に90店舗(約4900室)、西日本に43店舗(約2100室)を展開しています。」

このトランクルーム。日本ではまだ認知度がそれほど高くありませんが、最も普及が進むアメリカでは10世帯に1室の割合で利用されるほどメジャーな存在です。日本国内では2020年時点で推定53万室、市場規模約800億円ですが、今後5年で1,000億円規模にまで成長が期待されている市場なのです。

参考)国内トランクルーム市場の推移と予測 ※2019年推計値

需要の高い屋内型トランクルームの出店に注力

ストレージ王 梶が谷トランクルーム店

一般的に、トランクルームは大きく2種類に分けられます。コンテナをシンプルに積んで作る「屋外型」と、外観が綺麗で空調完備の「屋内型」があり、ストレージ王では、女性人気の高い屋内型の出店に注力しています。

ストレージ王の場合、屋外型では1ヶ所あたり平均50~60室を設置、専用建物の屋内型では平均130室を設置するのが標準。競合他社では1ヶ所辺り200室以上設置するところもあるようですが、それよりも低く設定するのはなぜでしょう?

荒川氏

「トランクルームの特性上、満室になるまでに時間が掛かるので、何百室も作っても満室になるまでに時間が掛かってしまいます。200室以上になると損益分岐点に達するまで時間がかかりすぎる為、当社では200室をベンチマークとして出店しています。」

ちなみに、個人客が利用しやすい0.5畳くらいの小部屋から、法人向けの8畳の大部屋まで幅広いサイズの部屋を揃え、幅広い客層をターゲットにしている。

出店制限が少なく、最短2か月で撤収も可能

成長が見込まれる業種ということは分かったが、トランクルーム業を受け入れる不動産オーナーにはどんなメリットがあるのだろう?

トランクルームのメリット(対 不動産オーナー)

①【出店制限が少ない】

水廻りの設備がいらないので大掛かりな入居工事が不要。ハード的な制限が少なく、オーナーからすると導入しやすい業態といえる。

②【最短2か月で撤収も開業可能】

条件にもよるが、ストレージ王では最短2か月で撤収が可能という。つまり「ビルがいつ取り壊すか分からないが、それまで使ってほしい」という場合でも入居してもらえるので、取り壊しまでの賃料収入が期待できる貴重なテナントといえる。(トランクルームの利用者とは月極駐車場のように随時契約を結んでいるので、短期間での解約が可能。)

③【物販・飲食に不向きな区画を有効活用できる】

大型商業施設やマンション、オフィスビルにも入居可能。空室が長期化するくらいならば、賃料目線は下がってもトランクルームに貸したいというオーナーは少なくないそうだ。

お話を伺った代表取締役 荒川滋郎様

インタビュー

最近では、飲食業やオフィスが退去した後の物件持ち込みが少なくないそうですね。

コロナ以降、廃業したホテル案件を何件も頂きますが、再利用できる設備は少ないし、浴室があったりして撤去費用がかなりかかります。ですが、立地や規模は良いので、建築コストが合えば検討できる可能性はあります。飲食跡の紹介も増えていますが、こちらも改装費が折り合えばという感じです。

一棟貸しの相談も多そうですね。

ええ。ただ、規模が大きすぎると稼働率が上がるまで時間がかかり採算が取れませんし、用途を倉庫に変えるので200㎡を超えると用途変更に伴う建築確認が必要になってしまいます。逆に、オフィス跡はコンバージョン費用がかからないのでぜひ検討したい。駐車場付きで24時間運営がベストですが、条件は柔軟に対応できます。

商業施設内にも出店可能性があるとか。

はい。大型商業施設の中には、店舗として使いにくい区画ってありますよね。日常的に車で人が来てくれる商業施設とトランクルームは相性が良いはず。営業時間の問題などはありますが興味はあります。

オフィスビルやマンションの一角に入居するケースもあるそうですね。

通常のオフィスビルの賃料目線では高くて条件が合いにくいですが、取り壊し予定があるなど特殊事情で安く賃料が抑えられるなら有効活用としておすすめしています。 ビルオーナー自身が投資をして当社が運営受託するやり方もありますし、それ以外のケースも柔軟に個別対応できます。

柔軟な出店が可能。写真左から、ビルイン(八重洲店)、マンション低層階(木場公園店)、専用建物(世田谷大蔵店)、店舗跡(津田沼店)

懇意にしている不動産会社から用地や物件の情報を貰うこともありますが、絶対的な情報量はまだまだ少ないと荒川氏は語ります。トランクルーム建築の用地条件は以下の通りです。人が居住しないので、南側に高層建物があって日当たりが悪い、騒がしい施設が隣接する、駅まで遠いなどの住宅やオフィスには向かない物件でも検討可能です。ピンときた方は是非お問い合わせください。

トランクルーム建築の用地条件

  • 立地…交通量が多い生活道路沿いで、接する道路幅が6m以上
  • 土地の広さ…50~200坪、道路との段差がないこと、旗竿地などの敷地延長形状でないこと
  • 用途地域…第二種中高層住居専用地域から
  • その他…駐車場、24時間営業可(例外あり)
  • 新耐震ビルの場合1,000㎡まで (旧耐震ビルは200㎡まで)

今回、取材に応じていただいた企業様

株式会社ストレージ王

株式会社ストレージ王

設立
2008年
本社所在地
千葉県市川市市川南1丁目9番23号
事業内容
トランクルーム、コンテナ式倉庫に関する企画、開発、運営、管理等
Webサイト
https://www.storageoh.jp/