内見~現地調査

テナントが内見の結果、具体的に検討したいとなったら、次は現地調査に進みます。

現地調査は、設備や内装、残置物(※居抜き物件の場合)などの状況をより詳しく確認するために行うもので、テナントが専門知識のある内装業者や工事担当者と共に行うことが多いです。

この時仲介会社は、限られた時間で効率よく内見するためにも、内見のポイントをきちんと理解して望むとよいでしょう。

出店申込書の受け取り~条件交渉

現地調査を終えた段階でテナントに出店意思があれば、出店申込書を提出してもらいます。

申込書を提出する際は、会社資料などを一緒に提出するケースが多いです。さらに、テナントが焼肉やカレーなど重飲食業の場合は、どんな商品を扱うか、煙や騒音などトラブルになりそうなリスクがないか確認する必要もあります。

入居後の賃料滞納や早期撤退、近隣トラブルなどを避けるためにも、非常に大切です。

【ここに注意!】

出店申込書はテナント側に出店の意思があることを貸主に伝えるための書面で、民法上の効力は全くありません。したがって、大手チェーンの中には面積や立地条件だけで検討可能だと思ったら、取りあえず申込書を出す店舗開発担当もいます。そのような時は、現地調査後、正式な経済条件等を記載した申込書を改めて出してもらいましょう。

オーナーの入居審査が終わり次第、テナントに結果を伝えます。

契約に進む場合、貸主を交えて条件交渉を進めます。店舗の場合、居抜きか新築か、ビルインか路面店か、駐車場があるかないか等々、物件によって交渉すべき項目がかなり異なりますが、代表的な項目を以下に挙げます。

・経済条件(敷金、礼金、保証金、賃料、違約金、仲介手数料など)
・契約形態、契約期間
・工事について(工事区分、日程、規模など)

・賃料発生日、引き渡し日、入居日
・原状回復のルール
・店舗運営(営業時間、客層、来客が特定か不特定多数か、バックヤードの使い方など)
・駐車場について(台数、出入庫時間など)

・看板について(掲出ルール、サイズ、位置など)
・その他、特約事項

【ここに注意!】

通常の賃貸借契約では、「賃料発生日=契約開始日」となることが通常ですが、店舗は慣習として「賃料発生日=営業開始日」とし、契約上は「契約開始日から〇日が経過した〇月〇日より賃料発生」とするケースがあります。(※店舗の売上から賃料を負担するという考え方に基づいているため)そうした認識を持ちながら「賃料発生日」について調整する必要があることを覚えておきましょう。

契約締結~引渡し

条件がまとまれば、いよいよ契約に向けて契約書と重要事項説明書(以下、重説)の作成に進みます。

店舗物件の場合、契約書に盛り込む条項は案件によってかなり異なります。そのため、契約書や重説に誤記や記載漏れがないか、必ず複数人で細かくチェックしましょう。この時、不明点があればその都度、テナントや貸主に確認を取ります。

また、居抜き物件の場合は賃貸借契約だけでなく、退去テナント(旧借主)と入居テナントとの間で造作譲渡契約を締結する必要があります。

そして書類が揃い次第、契約締結前に重説を行います。これは、住宅やオフィス物件の場合と同じです。時間がかかる作業ですので、余裕を持った日程を組みましょう。

契約締結後も開店するまで気は抜けません。工事に遅れやトラブルが出ていないか、開店日を迎えるまでテナントや貸主と密に連絡を取るよう心掛けましょう。

まとめ

今回は、仲介会社の視点から申込書の受理~契約までの流れを中心に解説しました。大まかな流れは住宅やオフィスと変わらない一方、店舗ならではの注意点がお分かりいただけたと思います。契約前からテナントや貸主としっかり連携を取ることで、入居後のトラブルも防ぎやすくなり、テナントと良好な関係を築ければ、2店舗目、3店舗目とご縁が続くのも店舗仲介ならではのメリットです。店舗仲介の際は、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。