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調査・マーケティング
中小規模ビルのベストプラクティス事例集 ~都市と地方に見る持続的なビル活用のかたち~
公開日:2026年4月17日
ビルの老朽化が進む昨今、建築費高騰により建て替えではなく既存ビルの再生に注目が集まる一方、『費用対効果への不安』や『投資の重さ』から改修に踏み切れないケースも少なくありません。そんな中、小さな投資や工夫を施し、収益性の高い物件や地域の拠点へと生まれ変わらせた成功事例があります。
今回はザイマックス不動産総合研究所の研究調査から、「中小規模ビルのベストプラクティス事例集」(一部)をご紹介します。
INDEX

概略
ザイマックス総研は、2015年に「ビルオーナー実態調査」(※1)を開始して以降、継続してビルオーナーへのヒアリングを実施し、ビルの改修や運営工夫の事例を収集してきた。その知見をもとに「中小規模ビルのベストプラクティス事例集」(※2)をこれまで2回公表している。
本レポートは、その第3回として、2025年11月に開催したセミナー「築古化するビルのゆくえを考える」で紹介した2社の実践事例をとりまとめたものである。
本ページでは、その事例の一部を抜粋。
※1 「ビルオーナーの実態調査」
※2 2019年9月24日公表「中小規模ビルのベストプラクティス事例集①」
2020年4月7日公表「中小規模ビルのベストプラクティス事例集②」
ベストプラクティスの位置づけ
ビルの価値向上策としては、リニューアルや耐震補強といったハード面の改修と、清掃・管理の徹底、テナントサービスの向上、地域との連携などのソフト面の施策が挙げられる。しかし、どの施策がどの程度の効果を生むかはビルごとに大きく異なり、一般化された指標も少ないのが現状である。
そこで、ザイマックス総研では、「中小規模ビルの価値向上」をテーマに、ビルオーナーが実際に取り組む工夫や実践を収集し、横断的に整理することでベストプラクティスとして紹介している。
主な事例
① 築古ビルを小さな工夫で再生する取り組み(テナワン株式会社)
「小規模投資でも確実に回収できる投資スキーム」
100~300坪規模の遊休ビルを対象に、3~5年という短期間での投資回収を目指すモデルである。老朽化ビルでネックとなる電気容量の不足や給排水設備などのインフラ課題を的確なノウハウで解決し、改修費用を新築の1/6~1/5程度に大幅に抑えているのが特徴だ。
「個別運営と地域連携」
物件ごとに最適なパートナーと柔軟に連携し、持続可能な運営体制を構築している。福井市の事例では地元のまちづくり法人や工務店と、東京都の事例ではカフェ事業者と協働するなど、単なるビル運営にとどまらず、地域特性に合わせた「まちに開かれた空間」を実現している。
② 築古ビルの価値向上がエリアのまちづくりに(安田不動産株式会社)
「まちの良さを生かした建物の有効利用」
建築費高騰で建替えのハードルが上がる中、日本橋浜町エリアの築古ビルを積極的にリノベーションしている。カフェやクラフトショップ、サウナなどを「街なか店舗」として点在させることで、大型ビルにはない回遊性と個性を創出。同時に耐震や防災対策も徹底し、「働きたい、住みたい、また来たい」と思えるまちづくりと建物の価値向上を両立させている。
「ビルオーナーの自発的な活動と企業誘致」
テナント任せにせず、オーナー主導で地元団体と連携したエリアマネジメントを実施している。マルシェや綱引き大会などの交流イベント、地域メディアでの情報発信を活発に行った結果、単なる「賃料の安さ」ではなく「まちとの関係性」や文化的な魅力を求めて入居する企業が増加し、エリア全体のブランド価値を高めている。