侮るべからず! 内見の重要性

■内見(ないけん)とは

不動産会社の紹介やインターネット検索で候補物件を見つけたのちに、「実際に現地に足を運び、物件の内部を見て確認する」ことを言います。「内部見学」の略語です。

ちなみに、近年では、ビデオ通話などを活用した「オンライン内見」が行われることも増えています。

■現地でしか確認できないことがある

もちろん「オンライン内見」にもメリットはありますが、実際に足を運んでみての内見は、なんと言っても得られる情報量が違います(VR・AR等の普及・進歩によって、その差は埋まりつつあるとはいえ)。

間取り、写真、その他の物件情報を閲覧して、自社の希望条件に合いそうだなと思っても、現場や周辺環境を実際に確認してみると検討外だった。こういったことも、決して珍しいことではありません。

そして、そのようなことを見逃したまま契約・入居してしまうと、後々、様々なトラブルに見舞われる可能性も。そのような事態を避けるためにも、この内見というステップを大事に踏んでいく必要があるのです。

内見までのフローチャート

次は、内見を行うタイミングを、物件探しのフローチャートを見ながら確認していきましょう。

①出店イメージの解像度を上げる

店舗のコンセプトやターゲット、出店希望エリアなどを具体化し、出店条件を明らかにするフェーズです。その際には、希望条件の優先順位付けまで済ませておくと良いでしょう。

②物件情報を集める

インターネット検索や不動産会社への相談、テナント募集看板などから自社のニーズにマッチしそうな物件の情報を収集していきます。

③検討可能かどうか確認する

造作費用等も含め賃料や保証金などにかかる初期投資の総額が、その物件にかかるものとして納得できるものか、自社の予算感と乖離していないか。減額交渉の余地はあるか。そういった諸々の経済条件を踏まえた上で、立地や物件スペックなどが出店条件にマッチしているかどうか。概ねマッチしていて、物件が検討できそうだなと確認したら、次のフェーズに進みます。

④内見を依頼する

電話やWEBで店舗オーナーや不動産会社に問い合わせを行い、内見の予約を行います(申込書提出前に内見することが大切です)。

⑤内見の日程を調整する

店舗オーナーや不動産会社とやりとりし、内見日を決めます。

⑥内見に参加する

実際に物件に足を運び、内見。現場で店舗オーナーや不動産会社の説明を聞きながら、確認項目をチェックしていきます。

⑦物件契約

内見を通して自社の希望条件と物件がマッチすることを確信したら、申込書を提出します。設備面等細かいポイントを確認後、物件契約へと進みます。

内見時に押さえておきたいポイント

基本的に内見は、不動産会社立ち合いのもとに行われ、しばしば、オーナー等が同席することもあります。特に、オーナー臨席の際は 現場を視察するだけでは得られない貴重な情報を教えてもらえるかもしれないので、迷惑にならない範囲でヒアリングしてみましょう。

ここで、内見時に助けとなるチェックリストを準備しました。
内見時間には限りがありますので、是非ご活用ください。

▼ ▼ ▼

必携! 内見時のチェックリスト

【内見時の持ち物】

✓ 物件の平面図(間取り図)
不動産会社から平面図をもらっておいて、事前にレイアウトを把握しておくと内見時にスムーズです。設備業者等同席の場合は、立面図、設備図面も当日持参するとよいでしょう。
✓ 記録媒体(カメラ、スマートフォン)
✓ メジャー
✓ 懐中電灯
✓ コンパス(方位磁石)

【内見時のチェックポイント】

(1)交通・立地

現地で確認したい第一のポイントです。早めに現地に入り、物件の近隣を歩いて調査してから内見に臨むのがオススメです。

☑︎ 最寄り駅の利用者
☑︎ 最寄り駅からの所要時間・利便性
☑︎ 商圏
☑︎ 滞在人口
☑︎ 通行量
☑︎ 競合店舗の状況
☑︎ 競合店舗の営業時間
☑︎ 周辺施設
☑︎ 周辺駐車場

参考:商圏調査の方法、何をどうすればいいの?

(2)外部状況(外観)

飲食店など、集客性を重視する業種・業態では、特にしっかりと確認したいポイントです。

☑︎ 視認性
☑︎ 第一印象
☑︎ 間口の広さ
☑︎ 看板設置スペース・サイズ

(3)内部状況(フロア)

希望条件に沿ったレイアウトであるか、営業に適する動線が確保できるかどうかを優先確認事項として、まずはフロア全体を確認。飲食店(居抜き物件)の場合は、そこから、各造作物のチェックに入っていくなど、“全体→細部”の順でチェックしていくことを心がけていきましょう。

☑︎ レイアウト
☑︎ 動線
☑︎ 通路幅
☑︎ 客席(座席)
☑︎ 柱・梁の位置
☑︎ 窓の位置、サイズ、採光
☑︎ 天井高
☑︎ 厨房スペース(飲食店の場合)
☑︎ 収納スペース・量
☑︎ トイレ
☑︎ 手洗い設備
☑︎ 事務・休憩スペース
☑︎ バリアフリー対応

(4)インフラ設備・容量

飲食店の場合、特に細心の注意が必要なチェック項目。飲食店営業では業態・使用機器によって、引き込み容量に大きな違いが生じるため、内見時では、設備が備わっていない(容量が適していない)ケースが多く見られます。新設、容量変更の工事には追加のコストがかかってくるので、要チェックです。

☑︎ 電気・動力
☑︎ ガス
☑︎ 水道(水圧)・排水
☑︎ 不備の確認(漏電・ガス漏れ・排水つまりと漏水)
☑︎ 引き込み状況と容量
☑︎ 容量引き上げ可否

(5)厨房設備(飲食店で居抜きの場合)

飲食店でチェックすべき項目です。ここでアンマッチを起こすと、予想外の費用が発生する恐れもあるので、要注意。ダクトを引き込む際、階数によってもコストが大きく変動するので注意しましょう。

☑︎ 厨房機器(品名や型番、年式)
☑︎ 排気ダクト
☑︎ 吸気口
☑︎ グリストラップ
☑︎ 厨房防水

参考:居抜き物件とは?メリットとデメリットを徹底解説

(6)その他、チェック項目

店舗に付帯する設備についてはもちろん、見落としたくないのが、環境要因の把握です。ネズミなどの害獣被害の跡があるかどうか。他テナントの業種など、チェック漏れが手痛い被害に繋がる可能性があるので、注意深く確認しておきたいところです。

☑︎ 他のテナントの業種・業態
☑︎ 昼と夜の近隣環境の違い
☑︎ 築年数
☑︎ 階数
☑︎ 専用階段の有無
☑︎ 敷地内駐車場
☑︎ エレベーターサイズ
☑︎ エアコン(冷暖房)
☑︎ セキュリティ
☑︎ 害虫・害獣
☑︎ 騒音・臭気
☑︎ 避難経路

(7)その他、ヒアリング項目

物件を目で見て確認しただけでは把握できないこともあります。そこで、不動産会社や物件オーナーにヒアリングすることは、トラブル回避のためにも、とても大切なことになります。例えば、居抜き物件には、「既存設備があって導入コストが抑えられる」「スピーディに開業できる」などのメリットがありますが、一方で、一見して把握できない”隠れたリスク”というものが存在します。それらを洗い出すための項目です。

☑︎ リース物品
☑︎ 残設備の状態や故障
☑︎ 撤去予定設備
☑︎トラブル歴
☑︎ 前テナント事情
☑︎ 禁止事項(近隣・大家との関係)
☑︎ 賃貸条件
☑︎ 引渡し時期

トラブル歴や前テナント事情、賃貸条件などは、可能であれば事前に確認しておきましょう。

まとめ

まとめると、

・内見は、写真や図面からだけではキャッチできない、現地でしか確認できない情報を得られる。

・ただ現地を見れば良いというわけではない。しっかりと事前準備をして臨むことで、内見の効率、効果を大きくアップすることができる。

・内見でのチェックの精度は、内装や設備工事のコスト試算にも影響する。

このように、一口に「内見」と言っても、開業後の営業にも大きな影響を及ぼし得る重要な機会であることを認識してもらえたと思います。また、内見のタイミングで貸主や不動産業者に良い心象を与えることで、今後のスムーズな交渉にも繋がっていきます。

確認すべき項目が多くて驚かれたかもしれませんが、今回ご紹介したチェックリストがあれば大丈夫。内見の精度を高め、スムーズな開店を目指していきましょう。