店舗の賃料相場とは?

「賃料相場(家賃相場)」とは、特定の地域や物件のタイプ(間取り)において、一般的に支払われる賃料の平均的な水準のことを言います。エリアや業種、立地条件などによって異なり、需要と供給のバランスで常に変動します。

店舗の賃料相場は、どんな要因で決まる?

具体的に、貸店舗の賃料相場は、以下のような要因によって決まります。

【周辺環境】

◎立地:中心(主要商業エリア、駅)に近いほど高額化。
◎利便性:利便性(急行停車駅、商業集積エリア)が高いほど高額化。

【物件特性】

◎築年数:築年経過で、物件の耐久性劣化、仕様陳腐化の観点から低額化。
◎間取り:広く、利便性(使い勝手)が高いほど高額化。
◎階数:店舗では1階部分は特に高額になる傾向。

【使用目的】

◎業種・業態:飲食、物販、サービス業などで、相場が異なる場合がある。

【タイミング】

◎取引時期:希望者が多い時期は相場が高くなり、少ない時期は下がる。季節にも左右されうる。
◎景況感:景気の変動によって、相場が上下する。

環境変化の多い都市部では、特に価格変動が激しい傾向にあります。これらの要因を理解し、自身に最適な物件を選ぶことが肝要になってきます。

店舗の賃料相場は、どうやって調べる?

賃料相場の決定要因を把握したところで、いよいよ、相場の調査方法をみていきましょう。

サイトを活用する

賃料相場を調査する際には、信頼できるサイトや資料を利用しましょう。インターネット上で不動産会社などが運営する賃料相場情報を活用することで、正確な情報を得ることが可能です。複数の情報源を比較することで、より信頼性の高いデータを集めることができます。

また、希望するエリアや広さで検索することで賃料相場を比較することができます。しかし、各サイトによってデータの収集・集計方法が異なるケースもあるので注意しましょう。複数サイトを比較し、ある程度の手間隙をかけて、総合的に相場感を掴んでいくことが肝要です。

不動産会社に相談する

自身の調査結果だけを過度に信頼しすぎないよう、検討しているエリアの物件情報を豊富に取り扱う不動産会社から相場情報をヒアリングすることも有効です。また、店舗物件に特化した仲介業者も存在します。こうした不動産会社は、貸店舗に関する専門知識が豊富で、賃料相場だけでなく、契約条件や地域特性についても情報を提供してくれます。

検討している店舗物件の賃料が適正か判断するポイント

店舗の賃料相場を把握したら、次は、入居を検討している(あるいは、すでに入居している)物件の賃料が適正かどうかを判断していきましょう。
そのチェックポイントを2つにまとめました。

POINT 1
現在の相場に見合った賃料かどうか

賃料相場と検討している物件の賃料が乖離していないかを確認しましょう。チェックのポイントは、“費用対効果”です。物件がもたらす経営的な効果が、投じる賃料に対して割りに合っているかどうか。同じ立地であっても、時の経過によって周辺環境が変化することで、その物件の集客力が上下することがあります。

例えば、近隣に大型店舗ができたことで、検討物件の集客力が相対的に下がった場合、契約時の相場感では適正だった賃料も、割高に映ることでしょう。このように、適正賃料は、時とともに変わりうるので、定期的に確認していく必要があります。

POINT 2
業績(売上予測)に見合った賃料かどうか

賃料が、自社の業績や売上予測に見合っているかを確認することも重要です。賃料は店舗経営の中でも大きな経費(固定費)であり、売上に対して家賃の比率が高すぎる場合、利益率が低下し、経営が圧迫される可能性があります。

売上に対する賃料の比率を「賃料負担率(家賃比率)」と言いますが、この「賃料負担率」は、業種によって異なり、低い業種で3~5%、高い業種で15%~20%を超える場合もあります。また、立地によっても変わってくるので注意が必要です。賃料が適正な範囲を超える場合、経営に過度な負担を与える可能性が高くなります。その場合、賃料の適正化を図るか、物件の見直しも視野に入れる必要も生じます。

定期的に賃料コスト(固定費)の適正化を図ることの大切さ

適正賃料を把握する必要があるのは、契約時だけに限った話ではありません。経済状況や市場動向の変化によって、適正賃料も変動します。定期的に賃料が適切かをチェックし、必要に応じて契約更新のタイミングで貸主と適正化への交渉をしていくことで、固定費の削減、経営の安定化を図ることができます。

協議の際には、賃料相場の調査や事業の状況の整理など事前の準備を行い、提案内容を明確にすることが重要です。また、交渉が成立した場合は、必ず合意内容を書面に残すことで、後のトラブルを防ぐことができます。貸主との良好な関係も重要ですので、交渉は誠実に行いましょう。

まとめ

賃料相場を正確に把握し、適正な賃料負担率をキープすることは、店舗経営においてとても重要なことです。また、賃料の適正化を単なるコスト削減の手段と捉えず、長期的な経営戦略の一環となります。
そういった経営的視点を持つことの重要性を改めて確認した上で、店舗の収益率を大きく左右する「賃料」と向き合っていきましょう。