- テナント企業向け
インフォニスタ利用法 ― テナント企業編 Vol. 6
「物件オファー」には、検討不可でも回答した方が良い理由
公開日:2021年2月26日 最終更新日:2022年11月25日
日々、みなさんのもとへ不動産会社から届けられる『物件オファー』。
この『物件オファー』に対して、ウェブ上で簡単に一次回答(検討したい / 検討不可)ができるので、“この物件、いいな。【検討可】だ!”、と思ったら、もちろん、すぐに不動産会社へ回答を送りますよね。
それでは、みなさんに質問です。
─ 【検討不可】の『物件オファー』に対しては、回答を送っていますか?
え? なんで、【検討不可】のものに、わざわざ“検討できません”って回答する必要があるの? 面倒くさいよ。
そうですよね。一見、無駄な行為のように思えますから、その気持ちもわかります。でも、『物件オファー』には、【検討不可】であっても回答しておいた方が良い理由があるんです。
検討不可の物件オファーにこそ回答を送り、
不動産会社との新しい繋がりを生み出そう!
不動産会社との、コミュニケーションの必要
愛媛県─、『居酒屋 岩場』等の飲食店チェーンを運営する、企業の本社ビル。
その活気あるオフィスの一角で、ウェブミーティングに熱を入れている、ひとりの女性がいる。東京進出の新店開発を担う、広瀬さんだ。
そして、ウェブミーティングのお相手は、『インフォニスタ』のベテラン社員・さとしさん。
前回、さとしさんのレクチャーを受けて、『物件オファー』のしくみを理解し、非公開のものも含め、徐々に、良質な物件情報を受け取れるようになってきたようですが…。
うーん。でも、今ひとつ、自社のニーズにマッチしきらないと言うか…、ベストマッチにまでは至らないと言うか…。
なるほど、あと“一歩”のところまで来てはいるものの、という感じなんですね。
はい、と応える広瀬さんに、さとしさんは続ける。
さて、その“一歩”を埋めるために、今、広瀬さんがやっておくべき大切なことがあるのですが、それが何かわかりますか?
ええと…。以前、さとしさんに教わったように、物件の希望条件も最新のニーズに合わせて設定し直してるし(※1)、メルマガみたいな“物件情報配信サービス”だってむやみに利用することは控えているし…(※2 )。
※1:(参照)『インフォニスタ利用法 ― テナント企業編 Vol.4 優良な店舗物件との出会いを左右する、希望条件設定のコツ』
※2:(参照)『インフォニスタ利用法 ― テナント企業編 Vol.5 『物件オファー』って、物件情報配信サービスと何が違うの?』
確実に前に進んでいますね。でも、あともう一歩。次に、広瀬さんに取り組んでいただきたいことは、ずばり、不動産会社とのコミュニケーションなんです!
コミュニケーション、ですか…?
はい。では、突然ですが、広瀬さんに、ちょっと質問。不動産会社から『物件オファー』が送られてきて、検討できそうだな、と思った時には?
すぐにリアクションします。即、お返事です!
では、検討できなさそうだな、と思った時には?
えっ? いや、そんな時は、もちろんノーリアクションです。検討できないものにリアクションするなんて、非効率の極みですから!
ふつう、そう考えますよね。しかし、実は、【検討不可】の『物件オファー』にこそ、不動産会社とのコミュニケーションの余地があるんです。
胸を張って“ノーリアクション”だと応える広瀬さんに、さとしさんが返した意外な一言。さて、その意味するところは…。
【検討不可】の回答こそ、コミュニケーションの種─、 その心は?
検討できない『物件オファー』に対して、【検討不可】の回答を送った時にこそ、不動産会社とコミュニケーションを取るチャンスがある。そんなふうに言われても、ピンときませんよね(笑)。
はい…。
実はこの点は以前のウェブミーティングで軽く触れていたので※、もう少し詳しく解説してみますね。耳にタコができているかもしれませんが、まずは、『物件オファー』の流れからおさらいしていきましょう。
※3:(参照)『インフォニスタ利用法 ― テナント企業編 Vol.3 物件オファーの仕組みとメリット』
【復習しよう!】
物件オファーの流れ
[テナント]
探している貸店舗物件の希望条件を『インフォニスタ』に登録。
▼ ▼ ▼
[不動産会社]
『インフォニスタ』によって、
“不動産会社の取り扱い物件”と“テナント企業の希望条件”が自動マッチング。
『物件オファー』の配信先候補として、マッチングされたテナント企業がリストアップされる。
そうして、不動産会社は、リストアップされたテナント企業の中から、業種や屋号、
会社名等によってさらに候補を絞って、実際にオファーを送る企業を選定していく。
▼ ▼ ▼
[テナント]
不動産会社から選ばれたテナント企業が『物件オファー』を受け取る。
希望とマッチしていたら、【検討したい】と回答すればOK。
そして、受け取った『物件オファー』のなかには、
当然、希望に合わない物件情報もある…。
こうして見てみると、『物件オファー』は、システムによる自動配信ではなく、不動産会社が、“このテナント企業に声をかけたい”と、指名した上で送信されているものであることが、改めて理解できると思います。
たしかに…。
さらに言えば、『物件オファー』とは、“このテナント企業にこそ、是非検討してもらいたい”、という思いで送られた、不動産会社からのラブコールみたいなものなんですね。
ラブコール…(やっぱり、言い方が、ちょっとロマンチック…)。
そして、ここにこそ、コミュニケーションの余地があります。
えっと…。
つまり、【検討可】であれ【検討不可】であれ、不動産会社は、広瀬さん(テナント企業)のリアクションを待っているんですね。そこを丁寧に回答することで、不動産会社との新しいやりとり(=コミュニケーション)が生まれる可能性がある、ということなんです。
【検討不可】でも回答を送ると、イイコト起こる?
なるほど。不動産会社さんの心情としては、【検討不可】であっても、その結果や理由を知りたいわけですね。それはそうだわ…。ちゃんと、回答してあげるべきでした…。
相手の立場になって、しっかりと応対するのは大切なことですよね。でも、それ以上に…
【検討不可】であっても回答すること、それ自体が、広瀬さんのようなテナント側のメリットにもつながるり得る、というのが大きなポイントなんです。繰り返しになりますが、そのことは改めて強調しておきたいところですね。
メリットというのは…、検討できなくても、しっかりとその旨を回答することで、不動産会社さんとの新しいコミュニケーションが生まれる、という?
その通りです。それでは、これから、そのメリットを具体的に挙げてみましょう。
【検討不可】でも回答すること、
その具体的なメリットとは?
・『物件オファー』をきちんと見てくれていることが不動産会社側で確認でき、「また次も紹介しよう」、という気持ちになってもらえる。
・【検討不可】の理由を確認した上で、不動産会社が、改めてニーズに合う別の物件を提案してくれる可能性がある。
・ルートがなかった不動産会社からの『物件オファー』であれ、【検討不可】でも回答してコミュニケーションを取ることで、そこから繋がりが生じ、それ以降、希望するような物件が出てきたら紹介してもらえるようになった、というケースも実際にある。
・「今回の物件は【検討不可】となりますが、ご挨拶だけさせてください」、などとコメントを送って、自分の方からルートを作ることもできる。
なるほどー。【検討不可】でも回答することが、物件を探す側のメリットにつながる、とさとしさんが強調した意味が、よくわかりました!
よかったです。さらに言うと、メリットどころか、回答をしないと、実は、大きな機会損失につながる可能性すらあるんです。
え!? 機会損失…?
はい。回答がなかった場合、『物件オファー』を見てくれたのかどうかすら、わかりませんよね。そういうテナント企業に対して、大事な非公開物件情報を送り続けるのは、不動産会社にとっては、大きなリスクになります。
な、なるほど…。
ということで、回答を怠ることで、オファー先から外されてしまう危険性だってあるというわけです。
わー、それは、本当に機会損失! これからは、たとえ【検討不可】であっても、不動産会社さんに、自分の希望を投げかけるような気持ちで、積極的に回答を行なっていきたいと思います!
その前向きな姿勢さえあれば、遠からず、良い不動産会社、良い物件と、きっと出会えるはずです。応援していますよ!
今回も、本当にありがとうございました!
覚えておきたい今回のポイント
【検討不可】でも回答を送り、
自ら『物件オファー』の精度を高めていこう!
【検討不可】であっても『物件オファー』に回答すること─、そのメリットを、よくよく理解した広瀬さん。
より精度の高い『物件オファー』を受け取りたい方は、今回、広瀬さんが学んだように、不動産会社とのコミュニケーションを図る気持ちで、積極的にオファーに対して回答していきましょう。
今回の登場人物
インフォニスタ社員
さとしさん
インフォ二スタ営業部のマネージャー。42歳。物腰柔らかで常に冷静沈着だが、若手に負けず劣らず「インフォ二スタをもっと広めたい!」と考え、全国を飛び回る熱いところも。商業施設のリーシングをしていたこともあるので、店舗開発にも造形が深い。家に帰ると3児のパパ。
「居酒屋 岩場」 店舗開発担当
広瀬さん
愛媛県を中心に展開してきた居酒屋チェーンの店舗開発担当。36歳。新卒入社後『居酒屋 岩場』の店長を務めていたが、1年ほど前から店舗開発担当になったのでまだまだ出店については経験が浅い。合理主義で仕事は効率的に進めたいと考えている。塩をつまみにお酒を呑めるタイプ。