日本最大規模の移動販売プラットフォーム

御社の事業内容を教えていただけますか。

当社の主な事業は、移動販売車の営業場所を探している移動販売事業者さんと、空きスペースを貸したい不動産オーナーさんとを繋ぐマッチングビジネスです。出店場所はオフィスビルの足元や公園、商業施設など、首都圏を中心に全国で450ヶ所あり、それを約1,200台の登録事業者の中から出店希望を募ってマッチングするという流れです。

※2021年7月7日時点

移動販売事業者が最も苦労するのは、移動販売の営業場所を自らで見つけ、交渉すること。メロウはこの一連の流れをシステム化することで、事業者から売上の一部を手数料として受け取り、その一部を不動産オーナーに支払う仕組みを確立している。

手厚い開業支援と経営サポートで、店舗事業者を応援

事業者と不動産オーナーを繋ぐのは、不動産の有効活用にも繋がりそうでね。

ええ。それ以外にも、例えば、開業時のネックになりがちな車両購入の問題を解決しようと、トヨタファイナンシャルサービスと連携してキッチンカーのリースプランを昨年から始めました。また、事業者の不安を解消できるよう、“キッチンカー専用の保険商品”もリリースしました。これは日本では初めての試みです。

マッチングだけでなく事業者さんの開業支援まで担う、と。

はい。あとは、販促活動として、どこにどんな移動販売車両が来ているか表示される独自の地図アプリ上でクーポンの発行を行ったり、モバイルオーダーにも対応するよう開発を進め集客をアシストをするなど、経営が軌道に乗るように当社が伴走します。

事業者からすると、そこまでサポートしてくれるのは心強いですね。

当社の立ち位置は、いわばプロデューサー。事業者の皆さまがファンを獲得できるように、私たちがステージを用意する。売上が低迷したら契約終了、ではなくてメニュー構成や出店場所など、これまで蓄積したデータをもとに戦略を一緒に練り、独り立ちできるまでサポートするよ、と。
私たちが事業者を“パートナー”と呼ぶのは、対等な関係で一緒に成長したいという思いからです。

キッチンカーの営業の様子。メロウでは営業場所の確保から開業支援、販促、経営コンサルに至るまで、あらゆるサービスを一気通貫で行う。

オフィス街から住宅街へ コロナ禍でターゲットにも変化が

コロナ以降、どんな変化がありましたか?

それまでオフィス街のランチ難民がメインターゲットでしたが、2020年4月の緊急事態宣言以降、ランチ難民どころかオフィス街から人がいなくなり売上がガクッと落ちました。
でも、キッチンカー最大の強みは移動できること。オフィス街に人がいなくなっても、在宅勤務で住宅街には人がいる。そこで、宣言の翌日にはオフィスから住宅地に完全にターゲットを変えました。

お話を伺った営業部長 田原 諭 様

反応はどうでした?

最初の出店場所として選んだのは、在宅ワーカーが多くいそうな東京・湾岸エリアのタワーマンション。5~6台のキッチンカーを出したところ、毎日違う料理が家で食べられると大好評でした。同時に新しい生活様式としてメディア取材が増えて、認知度もいっきに上がりました。

集まる注目、開業リスクの少ないキッチンカー

飲食店経営者の方は、まだ苦しい時期が続いていますね。

ええ。中には、なんとか生き残るための手段としてキッチンカーを選ぶ方もいます。実店舗で開業するとなると、交渉から入居工事、契約手続きなど開店するまで莫大な時間と費用が掛かりますが、移動販売車で当社を介せば面倒な交渉や契約がいらないし、手順がマニュアル化されていて、極端な話、社員が立ち会わなくても、当日車で乗り入れて営業が終わったら畳んで去っていくだけですから。

開業セミナーも人気だとか。

おかげさまで毎週2回開いていますが、盛況ですね。最近では想定外だった大手飲食チェーンからの問い合わせも増えています。

空きスペースに賑わいと収益を生み出す

営業場所を貸す不動産オーナー側にはどんなメリットがありますか?

まず管理コストをかけずに空きスペースを収益化することができます。かつ入居テナントの満足度が上がり、近隣住民も喜んでくれます。

極端な話、車1台分の面積があれば営業できますよね。

はい。例えば、営業車を停めることが多いオフィスビルの駐車場で、昼間の営業車が出払っている時間帯だけキッチンカーが営業して、ランチタイムを過ぎた頃に入れ替わりで営業車が入庫する、というやり方もできるんですよ。

すごく効率的ですね!キッチンカーの出店に向いている立地はどんな場所でしょうか。

一言でいえば、“ちょっと不便だけど、意外に人がいる立地”が狙い目です。実店舗であれば、流動人口が多くて駅に近いほど良しとされますが、移動販売車はそうじゃないんです。

駅前にはたくさん飲食店がありますが、駅と駅の間のエリアって昼間人口が多い割にお店が少ないですよね。何分か歩いてやっと見つけたコンビニに、近くのビジネスマンが殺到しているようなエリアは商売が成り立ちます。

店舗テナントでは難しいような立地ほど商機がありそうですね。

そうですね。土地が平らである事や搬出入経路などいくつかの条件はありますが、それでも普通の店舗テナントを入居させるより、手間もコストも格段に少ないです。駅から遠く借り手が見つからずに困っているスペースがあればぜひご相談いただきたいですね。

あらゆる商売を移動可能にしたい

最後に、今後の展望を教えてください。

今は登録者の9割が飲食業、つまりキッチンカーですが、“会いたいお店がやってくる”というビジョンに基づいて、将来的にはあらゆる小売、サービスなど、出店業種のバリエーションを増やしていきたいです。そのため、メガネ屋さんやお花屋さんなど小売業のスカウトや開業支援にも注力しています。企業文化としても、強い店だけが儲かる“一強状態”になってしまう仕組みではなく、多様性のある新規参入者も同じ土俵で戦えるよう、成長を後押しすることを大事にしたい。それに、様々なコンテンツを取り揃えられた方が、きっとお客様の満足度も上がるはずだと信じていますから。

キッチンカー以外の業種の出店にも意欲的。写真左は、豊洲市場仲卸の鮮魚販売カー、同右は健康チェックから保険の相談が可能な保険モビリティ。一般小売の移動販売が進めば、生活者の利便性向上や、事業者の新たな顧客創出など多くのメリットが期待できる。

本日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

今回、取材に応じていただいた企業様

株式会社Mellow(Mellow Inc.)

株式会社Mellow(Mellow Inc.)

設立
2016年2月18日
本社所在地
東京都千代田区四番町2-12 四番町THビル
事業内容
モビリティを活用した空地活用事業、店舗型モビリティの開業支援およびコンサルティング事業
Webサイト
https://www.mellow.jp/
お問い合わせ
https://form.asana.com/?k=Gl-NgDl8uag74BneHsuwjA&d=221389615305352