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新しい不動産の使い手たち
無人書店「ほんたす」の今 / 日本出版販売株式会社(後編)
公開日:2026年2月6日
省人化によるコスト削減と24時間営業化による売上アップの相乗効果によって“超ローコスト書店モデル”を確立した日販。昨年秋からはその手法をTSUTAYAなど既存書店に導入し、採用したすべての8店舗(2025年12月時点、直営店除く)で売上アップを達成しました。後編では、このノウハウを書店以外の小売業へも導入することを射程にいれて動き始めた、ほんたすの今後についてもお話を伺います。
前編はこちら
INDEX
“今すぐ手に入る”ことに想像以上の価値がある
24時間営業は想像以上にパワーワードなんですね。コンビニは当たり前でも、書店はコロナで時短営業になった過去があるから余計に目立つんでしょうね。
「店が開いてないならネットで注文しよう」という風潮が長らくありましたが、「店が開いているなら今すぐ買いに行こう」、という人が増えてきたように思います。
日曜の深夜に「月曜日を楽しく迎える方法」のようなハウツー本やビジネス本が売れているのを見ると、フラッと来店してくださる方が少なくないのが分かります。

なんとはなしに立ち寄る楽しみがリアル書店にはありますものね。インターネットは明確なニーズに対して供給するのは上手ですが、瞬時に提供することはできない。それに対してリアル書店は「なんとなく読みたい」「今すぐ手に入れたい」というニーズにズバッと刺さるんですよね。
お客様が求めているのは「今この瞬間に欲しい」なんですね。24時間営業の書店はそこに上手くフィットしているから、書店が息を吹き返す兆しさえ感じられます。営業時間延長してからレンタルのお客様も増えていますしね。
そういえば、深夜や早朝の時間帯に意外に売れるのが文房具などの生活必需品なのです。深夜帯に40~50代女性がお子様と来店して文房具を購入していることが売上データから散見されていて、おそらく夜になってお子様が「明日使うノートがない!」と言い出して買いに来てくださったというシーンが想像されます。
私も、つい先日、夜になって息子が「明日、ボタン電池が必要だ」と言い出すから、コンビニを5軒はしごしましたよ(苦笑)。こういうニーズは、どの小売業でも眠っているのではないでしょうか。
そうですよね。例えば、早朝に職人さんが工具や資材が急に必要になったり、海外旅行前夜になって「100均で買っておけばよかったな」と後悔したり、身に覚えがある方も多いと思います。
そういうニーズに対して、長時間営業の人件費がネックで諦めていた小売店様でも、ほんたすのノウハウを使えば、十分に実現できると思います。
ここ数年サブスクが流行っている理由のひとつは、ニーズが発生した瞬間に商品をすぐ提供できるから。“今”というのがキーワードなのかもしれません。
そういえば、導入いただいている24時間営業の「TSUTAYA東所沢駅前店」は、早朝5時前後の売上がとても良いのです。始発待ちで時間をつぶしていた方がフラッと立ち読みして買ってくださったのかな、電車の中で読む用に買ってくださったのかな、と想像しています。
人や場所によって、その“今”がいつなのかはそれぞれですが、できる限り多くの“今”に対応して商品を供給できる体制がつくれたらと思っております。
24時間営業×省人化の経営モデルをあらゆる業種に拡大
それでは、今後の展望を教えてください。
まず、ほんたすとしては2つあります。
1つめが、取引先書店様の運営省力化。
既存店の経営改善を進めていきます。また、ノウハウを応用して、既存店の近くにサテライト店を出せるような出店パッケージの開発も考えています。例えば、ピークタイムや品出し業務だけは大型店のスタッフが一時的にサテライト店へラウンドし、その時間以外は無人営業にするなど、ご要望に応じて検討を進めます。
2つめが、今後拡大したい分野で、書店様以外の小売店様への省力化ソリューションの提供。
例えば、100円均一ショップやホームセンター、作業服店など様々な小売店様に、24時間営業化や営業時間延長、省人化の支援ができればと思っています。
店舗単位にとどまらず、例えば商店街にまるごとそのようなソリューションを提供できたら街全体の価値が高まる、ということも考えられるかもしれません。
ほんたすを通じて、あらゆる小売業の店舗経営コンサルに事業領域を広げていきたいと考えています。無人化や省人化につながるDXメニューを束ねて提供できる、我々のようなことをやっている企業は、世の中にまだ多くはありません。
もちろん大手IT企業に発注すれば、入店から防犯、決済までその店舗専用にカスタマイズされたシステムを一括で提供してもらえますが、コストが高くなるため、導入ハードルも高いと考えています。また、優れた防犯カメラを安価で製造する企業があっても、小売店一店舗一店舗に営業をしていくには時間も労力もかかりますし、小売店様も数多くの製品からベストなものを選ぶことに労力がかかります。その両者の間を繋ぐことができるのではないかなと思います。
ただ単にDXソリューションの取次をするだけではなく、小売店様や消費者目線で導入後の店舗運営、そしてその店の未来まで一緒に考えていくことが我々の目指す姿なのだと思います。

日本出版販売株式会社様は、2019年にグループホールディングス化したんですよね。出版取次はもちろんのこと、多角的に事業を広げられています。という流れもふまえると、ほんたすが日本にあるすべての小売業に対するコンサルタント業に進化していく、というのも納得です。
素晴らしい解釈をしていただきありがとうございます。確かにそうですね。我々は数々の店舗での経験から、あらゆる小売業に応用できる店舗運営省力化と売上の最大化にまつわるソリューションを蓄えていると思います。ですから、店舗DXに興味があるけれど何から手を付けていいかお悩みの書店様や小売店様がいらっしゃれば、ぜひご相談いただきたいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
今回、取材に応じていただいた企業様
日本出版販売株式会社
- 本社所在地
- 東京都千代田区神田駿河台4丁目3番地
- 設立
- 1949年(昭和24年)9月10日
※2019年10月、持株会社体制への移行に伴い事業会社化 - 事業内容
- 1. 書籍、雑誌、教科書及び教材品の取次販売
2. 映像及び音声ソフトの製作、販売、ならびにこれに関する著作権の取得、賃貸
3. コンピュータ機器及びソフトウェアの販売、ならびに情報提供サービス - Webサイト
- https://www.nippan.co.jp/