商圏調査とは?なぜ必要?

商圏とは、自分の店のターゲット層が生活している地理的な範囲のことです。

そして、商圏調査とは、様々なデータから商圏の特性を割り出して、店舗のコンセプトやターゲット層とマッチするか分析する調査のことを指します。

出店可否の判断材料になるばかりか、売上予測や経営戦略を立てる上で欠かせないものなのです。
巷には商圏調査を代行する有料サービスや商材が山ほどありますが、予算を掛けなくても基本的な事なら自分で調べることは可能です。


商圏調査の流れ

STEP1
事前調査

まずは、出店エリアの住宅地図のコピーと赤ペンを用意します。そして、出店候補地を中心として商圏となる範囲を円で囲ってみましょう。

これを「円商圏」といい、大事になってくるのが円の半径、つまり範囲の設定です。

①円商圏とは?

円の半径、つまり商圏が何km圏内になるかは業種や扱う商品/サービスによって大きく異なりますが、以下の3つが代表的な基準とされています。あなたの店舗は次のどれにあてはまりますか?

第1次商圏(最寄品商圏)

ほぼ毎日来店する可能性のある範囲。徒歩10~15分程度
例えば、コンビニ、定食屋、ラーメン店、中華料理屋など

第2次商圏(中間品商圏)

週1~2回来店する可能性がある範囲。自転車10分~15分程
例えば、居酒屋、大型小売店、クリーニング店、ドラッグストアなど

第3次商圏(専門品商圏)

1~3か月に数回程度来店する可能性がある範囲。自動車で30~40分程
例えば、高価格帯のレストラン、塾・教室、専門性の高い小売店など

円商圏が描けたら、住宅地図からそこに含まれる町名をピックアップします。すると自治体のHPで公開されている町名別の人口データを元に、商圏内の人口を求めることができます。これでひとまず商圏規模が割り出せました。が、実際の商圏はこんなに綺麗な円にはなりません。

例えば、競合店が多かったり立地条件が悪かったりすれば、商圏規模が狭まったり歪んだりします。逆に、国道沿いや駅前立地など交通アクセスが良かったり、競合店の少ない立地だったりすると商圏範囲はいっきに広がりますよね。
このように、より実情に基づいた商圏「実質商圏」を正確にはじき出すのが次のステップです。

②統計調査を元に実質商圏を割り出す

以下のようなデータを元に商圏を絞り込みます。その地域の住民や街に訪れる人々の姿、地域性、将来の街の姿を、データから読み取ってより鮮明なイメージを持つことが目的です。そのイメージとあなたの店のコンセプト、ターゲット層はマッチしますか?

どんな人がどれくらい住んでいる?

・性別人口、年齢別人口や世帯数とその伸び率、世帯人員(一人暮らし、ファミリー層など)、昼夜間人口比率など
・世帯年収、職業構成、自動車の所有率、住居タイプ(戸建て、アパートなど)、共働き比率、世帯構成、所得水準など

将来、予想される変化は?

・マンションやビルの建設予定、インフラの整備予定など

住民以外の来街者は?

・最寄り駅の乗降客数
・住宅以外の建造物
 ⇒大学や工場、オフィスビルなどがあれば住民以外の利用が期待できます。

商圏調査に役立つ無料サイト

・j STAT MAP/総務省統計局
主に人口動態に関する統計データをGoogleマップ上で表示して簡単にレポート出力できるシステム。自分が指定したエリア内の性別・年齢別人口や世帯構成などがすぐに分かり、分析だけでなく補助金申請書の根拠材料としても活用できる。

・駅別乗降客数データ/国土交通省
全国の鉄道事業者から集めた、駅別乗降​客数データを閲覧できる。

STEP2
現地調査

上記の事前調査で手ごたえを感じられたら、いよいよ現地のマーケティング調査です。現地をくまなく歩き、数字だけでは分からない情報をゲットしましょう!
現地でチェックしたい項目は次の通りです。

①交通量調査

・出店候補地の前を、人・自転車・車が、どの時間帯にどれくらい通るか?速さはどうか(ぶらぶら歩き回っているのか、目的地に向かって歩いているのか)?渋滞状況はどうか?

・看板が出せる位置、前面道路の位置、エントランス(店舗、駐車場)の位置、駐車場の入りやすさ、ターゲット層が被る店(自店の前後によく立ち寄られる店)が近くにあるか?

②商圏バリア

商圏バリアとは、お客様の来店を妨げてしまう要素のことです。例えば、地図上の直線距離ではさほど遠くないのに、実際には坂道や線路があると、なんとなく行くのが面倒に感じませんか?その結果、足が遠のき来店頻度が減る。これが商圏バリアです。
一例を以下に挙げますので、地図と照らし合わせて現地で確認しましょう。

■自然/人工の造形物…山、谷、川、橋、坂道、学校や工場などの大型施設

■道路状況…線路、車線の多い道路、渋滞の多い道路、 道路から車で入りづらい立地(入口)、中央分離帯など

ただし、例外もあります。周りに競合店がないとか希少性の高い店であれば、商圏バリアがあったとしてもさほど影響しません。「行くのは面倒だけど、そこしか選択肢がない」というわけですね。

③その土地特有の消費傾向

統計データだけでは分からない、その土地ならではの購買特性や習慣の違いから生まれる消費者傾向が存在するケースがあります。とはいえ、土地勘のないエリアでは、こういう空気感はなかなか掴めませんよね。

その場合、地場の不動産会社にヒアリングするのが手っ取り早いでしょう。インフォニスタの「不動産業者検索ページ」を使えば、店舗に強い不動産会社を探すこともできます。

さて、このように来店動機は実に様々な要素が絡むものです。だからこそ現地調査は一回やって終わりではなく、曜日(平日/休日)、時間帯、天気など条件を変えて何度か繰り返すのが大事です。

STEP3
競合店調査

ライバル店の調査も欠かせません。現地で調べることとしては、競合店の立地、店舗面積、営業時間・休業日、商品(メニュー、サービス、品揃え)のラインナップ、価格帯、看板商品・特長とするサービス、客層、周辺環境、駐車場規模など。そして、SNSで調べることとしては、集客目的の広告展開や口コミ(長所/短所)などが挙げられます。


さいごに

地域の特性を正確に把握し、出店判断に活かすことで店舗経営の成功が近づきます。手間だと思うかもしれませんが、大手チェーンの店舗開発担当者にとってはごく日常的かつ不可欠な業務なのです。
インフォニスタでは、出店に関する知識・ノウハウ、事例だけでなく、全国の貸店舗物件や店舗に強い不動産会社を探すこともできます。是非ともインフォニスタをご活用ください!