- テナント企業向け
知識・ノウハウ
コレだけは外せない!貸店舗探しのチェックポイント5つ
公開日:2020年12月14日
貸店舗を探している人なら誰しも、「商売が繁盛する物件を見つけたい」と考えることでしょう。しかし実際は、どこを見ればいいのか分からない人も多いのも事実です。「駅前で立地がいいから」「ちょっと狭いけど賃料が安いから」と何となく選んでしまうと、もし相性の悪い物件だった場合に商売は立ち行かなくなってしまいます。では具体的にどこを見るべきなのでしょうか。
今回は、貸店舗探しに失敗しないために必要な5つのチェックポイントを紹介します。
INDEX
まずは希望条件を整理する
あらかじめ希望の条件を洗い出し、優先順位をつけておくと重視すべきポイントが明確になります。少なくとも、以下の項目について、希望条件を整理しておくといいでしょう。
・賃料
・エリア
・必要面積
・物件タイプ(ビルイン、フリースタンディング、商業施設)
・スケルトンor居抜き
・利用時間(土日祝日、24時間など)
・駐車場(有無、台数)
例えば、
①エリア:〇〇駅近く
②面積:20坪以上
③賃料:50万円以下
といったように、優先したい順に具体的な希望条件を書き出してみます。あまり細かく設定すると選択肢が少なくなってしまうため、「これだけは譲れない!」というポイントを3つほど挙げてみましょう。
最低限チェックしておくべき5つのポイント
実際に、貸店舗を見に行く際は、自作のチェックリストを用意します。複数の物件を比較しやすいように事前にチェックリストを準備し、それに記録していきましょう。
物件のどこを重視するかは、業種や顧客ターゲットなどによっても異なります。ここでは、最低でもチェックしておきたい5つのポイントを紹介します。
①交通・立地
店舗物件において、交通の便や立地はとても重要です。しかし、賃料との兼ね合いを考慮しなければならない要素でもあります。
駅前の一等地や繁華街はお客さんを引き込めるチャンスが多くありますが、そのぶん賃料は高くなります。すでに同じような業態の店が存在していれば、競争も激しくなるでしょう。一度出店してしまうと簡単に場所を変えることができないため、儲からなければ賃料だけで赤字に…ということにもなりかねません。
商品力や狙いたい客層(狙える客層)をよく見極め、予算と照らし合わせながら最適な立地が見つかるまでじっくり探しましょう。
最近では、コロナの影響で外食を自粛し、テイクアウトや宅配を活用する人も増えています。それに伴い、デリバリーサービスやテイクアウト専門店の出店も拡大しています。
必ずしもイートインにこだわらない、あるいはテイクアウトや宅配中心にシフトチェンジを考えているのであれば、わざわざ賃料の高い一等地に店を構える必要はなく、むしろ住宅地のほうが理に適っているともいえます。外食不況や外出自粛が叫ばれる今、店舗における「好立地」の中身が変わりつつあるのかもしれません。
②店舗の状態・状況
居抜きかスケルトンかによっても異なりますが、特に飲食店は店舗物件の設備や整備状況をしっかり確認することが大切です。
主にチェックしたいポイントは、以下の通りです。
●築年数
●階数
●水道・ガス・給排気の容量
●動線
居抜きの場合は、さらに以下のポイントもチェックしましょう。
●残設備の程度(厨房・冷暖房・トイレ・ダクト・グリストラップ)
●バリアフリー対応
●害虫や害獣の痕跡
また、害獣や害虫が侵入できそうな穴がないか、外壁や窓の状態は良好かなど、物件外側の整備状況を確認するのも忘れないようにしましょう。
③前テナント事情
前に入っていたテナントがどのような理由で撤退したのかは知っておきたいポイントです。
お客さんが入りきらないほど店が繁盛し、手狭になったために移転したのか、お客さんの入りが悪くて閉めざるを得なかったのかでは、話が違ってきます。
近隣住民や店舗の評判も役立ちます。実際に聞いてまわる、あるいは口コミなどはSNSでも調べられますので、ぜひチェックしてみましょう。
④ほかの入居者の有無
同物件に居住している人や利用している人がいるかどうかも見逃せないポイントです。
もし、階下や階上が住居フロアになっていたら、住民に対して騒音や臭いなどを配慮しなければなりません。
一方、企業の事務所や他店舗が入っている場合、そこの社員や従業員などの固定客を取り込めるかもしれません。 また、入居者に単身者が多いのかファミリーが多いのかといった点も要確認です。
⑤昼と夜の近隣環境の違い
昼間の内見だけでは分からないのが夜間の近隣環境です。人通りの違いや夜営業の店舗にはどのようなものがあるか、などをチェックします。平日と週末で夜の雰囲気が変わることもあるため、できれば両方、何日間か見ておくのがおすすめです。
貸店舗選びに失敗しないために
次のような店舗物件を見たことがあると思います。
「駅前のいい場所にあるのに、なぜかテナントの入れ替わりが激しい」
こういったケースでは、物件自体の問題というより、需要の有無等、他の原因が大きく影響を与えている可能性が高いと思われます。
反対に、「辺鄙な場所にあるのに、なぜか繁盛している店舗」も存在します。
どこにも負けない魅力的な商品やサービス力を持っていれば、どんな場所でも売れるのかもしれません。しかし、このような成功例はほんの一握りにすぎません。
多くの場合、「何を売るか」と「どこで売るか」は切っても切れない関係であり、貸店舗探しにおける事前のマーケティング活動は非常に重要です。
例えば、自社商品の分析や競合調査を踏まえ、顧客ターゲットを「駅を利用する人」ではなく「近隣住民」に設定し、人通りの多い駅前ではなく、あえて少し外れた場所に出店をし、成功を収めたケースもあります。徹底したマーケティングにより、強豪との差別化に成功した事例といえるでしょう。
丁寧なマーケティングを行わずに物件を選んでしまうと、期待していた集客ができない可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、候補物件のチェックを丁寧に行い、希望条件とすり合わせることが大事です。もちろん、すべての希望を満たす完璧な物件などありません。妥協できる点と譲れない点を整理し、取捨選択することも必要です。